【求める以上にアグレッシブ】ヒュンダイi30 Nへ英国試乗 高めた日常性

公開 : 2020.07.12 10:20  更新 : 2021.03.05 21:37

重いステアリングに印象の薄いエンジン

コーナリングに焦点が受けられたセットアップだとはいえる。濡れた路面でもフロントタイヤのグリップ力は高く、旋回中のボディーロールは小さい。LSDは効果的にクルマを進めてくれる。

漸進的に制動力が強まるブレーキペダルの感触も、ドライバーへ自信を与えてくれる。ブレーキングで前方へ荷重を移し、ノーズの向きを変えるスタイルが楽しめる。

ヒュンダイi30 N(英国仕様)
ヒュンダイi30 N(英国仕様)

ステアリングは、ノーマルモードのままでも人工的に重すぎる印象。正確性は高いものの、ヒュンダイをハイペースで走らせるのは、楽ではない。

スポーツモードではさらに重さが増す。コーナーの続く道でステアリングホイールを勢いよく回し続けるには、ハードなワークアウトのように体力がいる。

回答性自体は機敏で好印象。しかし繊細なメガーヌRSや、運動神経の良いフォード・フォーカスSTと並ぶと、i30 Nの荒々しさが強調されてしまう。

2.0L 4気筒ターボエンジンは、最高出力274ps、最大トルク35.8kg-mもあるが、記憶に残るような特徴はない。鋭い加速力を引き出せるのは、充分にブースト圧が高まったときだけ。運転席で聞くサウンドも、個性的なものではない。

ただし、フルスロットルでレッドライン付近まで回して変速をすると、エグゾーストからはアフターファイヤーが発生。元気な破裂音は楽しめる。

6速マニュアルは操るのが楽しい。ホンダシビック・タイプRほど機械的な満足感は得られないが、正確なゲートと、カシリと決まるフィーリングは好感触だ。

ライバルへ並ぶにはもう少しの時間が必要

インテリアの雰囲気は、さほど心に残るものではない。全体的に凡調で、グレーのプラスティック製部品が目立ってしまう。少なくとも、ある程度の時間を過ごすのに不足ない広さはある。モノトーンの車内とは裏腹に、走り出せばi30 Nはカラフルな性格ではあるのだが。

マイナーチェンジを受けたヒュンダイi30 N。サスペンションへの手直しで、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIや、フォード・フォーカスST並みの日常性を手に入れたわけではないといえる。

ヒュンダイi30 N(英国仕様)
ヒュンダイi30 N(英国仕様)

運転を楽しめる領域は備えている。荒々しく山道を走り回りたいドライバーを、惹きつけてはくれるだろう。

熱々のホットハッチながら、多くのドライバーが求める以上の、アグレッシブな性格付けであることにも変わりはない。ヒュンダイi30 Nがクラス・ベストのホットハッチと並ぶ強みを得るには、もう少しの時間が必要なようだ。

ヒュンダイi30 N(英国仕様)のスペック

価格:2万9810ポンド(399万円)
全長:4335mm
全幅:1795mm
全高:1451mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:12.0km/L
CO2排出量:188g/km
乾燥重量:1429kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:274ps/6000rpm
最大トルク:35.8kg-m/1450-4700rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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