【悩むべきはリムジンかツーリングか】新型 アルピナB3 リムジンへ試乗 468ps 前編

公開 : 2020.07.13 10:20

次世代M3にかわる選択肢として、定評あるアルピナB3がG20型にも登場。M340i xドライブをベースに、次期M3と同じ新エンジンを搭載し、長距離も快適なシャシーを備えます。英国編集部がドイツで評価しました。

BMWアルピナの親密な関係

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アルピナB3のBは、ベンゼンの頭文字。つまりガソリンだ。アルピナは過去50年以上に渡って、燃料の頭文字をモデル名に充ててきた。

続くB3の3は、3シリーズの略。最新のG20型は、BMW M340i xドライブがベースとなっている。このB3のエンブレムを付けたアルピナは、間もなく登場する次期M3の、最大のライバルになるだろう。

アルピナB3 リムジン(欧州仕様)
アルピナB3 リムジン(欧州仕様)

世界中の自動車業界を見渡しても、アルピナとBMWとの関係性は珍しい。アルピナの創業は1965年。BMWへチューニングパーツを与えるだけではなく、B3のような独自モデルの製造を行っている。

アルピナはミュンヘンの自動車ブランドと、緊密なパートナーシップを構築。BMWの開発プロセスに、アルピナが組み入れられているだけでなく、新しい部品は量産前にブーフローの開発拠点で試験も行われる。すべてのBMWにアルピナのヒントがある、といわれるほど。

ブランドの独自性と、BMWでは提供できないビスポーク・サービスを誇りにするアルピナ。大量生産、大量販売が目的ではない。代表のアンドレアス・ボヴェンジーペンは以前、インタビューへこう答えている。

「年間に2000台のクルマを販売できれば幸せです。それ以上でも、それ以下でもありません」 このアルピナの姿勢こそ、年間に200万台ものクルマを販売するBMWと、共存できている理由だろう。

フロントスカートとマルチスポーク・ホイール

今回試乗した最新のアルピナB3は、英国では2020年末に発売される予定。四輪駆動のB3によって、アルピナのモデルは合計で8車種へと広がることになる。従来どおり、ボディスタイルは4ドアサルーンのリムジンと、ステーションワゴンのツーリングの両方が用意される。

新しいB3はBMWのレーゲンスブルク工場で部分的に製造が行われ、アルピナの本社へ出荷。最終的な組み立てが進められる。

アルピナB3 リムジン(欧州仕様)
アルピナB3 リムジン(欧州仕様)

B3はBMW 3シリーズ内のポジショニングで見ると、四輪駆動のM340i xドライブより上、間もなくの発表予定の次世代M3に迫る、狭い隙間に収まる。価格は発表されていないが、英国では7万ポンド(938万円)以上がつく見込み。

これまでAUTOCARでは、アルピナB3を高く評価してきた。先代モデルでも、非の打ち所のない速さと充足感に、満点を与えるほど。最新のB3も同様な評価を得ることができるのか、気持ちがはやる。

試乗を許されたのは、ドイツのサーキットと郊外に広がる開けた道。確かめるのに不足ない条件だ。

アルピナを通常のBMWと差別化させる特徴に、控えめな違いを与えられたルックスがある。代々受け継がれてきたアルピナらしさは、最新型でも変わらない。写真を見ていだければ、良くわかるだろう。

最新のB3も、G20型3シリーズのデザイン要素を上手に取り入れ、独自性を添加。その象徴がフロントバンパーのスカートと、アルピナ・オリジナルのマルチスポーク・アルミホイールだろう。巧妙に、決定的にアルピナらしい外観を与えている。

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