【悩むべきはリムジンかツーリングか】新型 アルピナB3 リムジンへ試乗 468ps 後編
公開 : 2020.07.13 18:50
ニュルではなく郊外の道とアウトバーン
コンフォート・モードでも、圧倒的な落ち着きとグリップ力で、コーナリングはシャープ。スポーツ・プラスを選択すると、漸進的なパワー・オーバーステアを引き出しやすくなる。
オーバーステア状態でも、優れた操縦性はそのまま。BMWがなぜM3にこのチューニングを施さないのか、疑問に感じるほど。
ドイツ・ニュルブルクリンクのノルドシュライフェといえば、スポーツモデル開発で重要視されるサーキット。BMWのMモデルも重点的にテスト走行を行うが、アルピナはさほど力点をおいていない。
「ニュルブルクリンクでのテストも行いますが、一部の機能のセットアップに関してのみです。サスペンションは主に、ドイツの郊外の道やアウトバーンで設定を煮詰めます。ノルドシュライフェではありません」 ボヴェンジーペンが説明する。
「わたしたちの哲学は、サーキットを数周回れるクルマではなく、1日中運転できるクルマを生み出すことなのです」 B3は、それを体現していると思う。
見事なバランスを獲得した、新しいアルピナB3。レスポンシブでダイレクトでありながら、快適で乗り心地の洗練性も高い。
アルピナがいうように、高速道路をハイスピードで長時間運転できつつ、高次元でのドライビングファンも備えている。ドライバーを疲れさせることなく。
リムジンとツーリングのどちらにするか
アルピナB3は、次期BMW M3を選ばない理由の1つになるモデルだ。素晴らしくトルクフルなエンジンと、極上のバランスを備えたシャシー。クルマを運転したいと強く思わせる、理想的な仕上がりだといえる。
デザイン的な違いは、ボディもインテリアも大きくはない。しかし走行性能や操縦性、乗り心地は並外れている。ドライバーを強く引きつける魔法のような完成度だ。
ドライビング体験を本当に理解する、エンスージァストな技術者でなければ、B3のようなモデルを生み出すことは難しいはず。自動車業界における小さな巨人という姿を守っているからこそ、アルピナの理想を追求し、強みを高めることができるのだろう。
既存のBMWをベースに、素晴らしいドライバーズカーを生み出し続けるアルピナ。われわれが悩むべきは、アルピナB3を選ぶかどうかではない。B3のリムジンとツーリングの、どちらを選ぶべきか、だと思う。
アルピナB3 リムジン(欧州仕様)のスペック
価格:7万3000ポンド(978万円/予想)
全長:4719mm
全幅:1827mm
全高:1440mm
最高速度:302km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:9.0km/L
CO2排出量:252g/km
乾燥重量:1785kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:468ps/5500-7000rpm
最大トルク:71.2kg-m/2500-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック