【フランス国籍、でも道産子】クラウン/ハリアーなどで試してみた ミシュラン新スタッドレス「X-ICE SNOW」

公開 : 2020.07.10 05:50  更新 : 2021.10.09 22:35

数値以上の安心感 ドリフト、できず

今回の試乗は一般道も含まれていたが、わかりやすいのは氷、雪ともテストコース内の比較である。

個人的に最も感心したのは圧雪の大き目の定常円で走らせた時だった。

ミシュランX-ICE SNOW
ミシュランX-ICE SNOW    ミシュラン

走りはじめる前の予想では、イイ感じにドリフトが楽しめると思っていた。

普通ドリフトはグリップの切れ間をきっかけにはじめるのだが、X-ICE SNOWはその切れ間が見当たらない。

試乗車である4駆のハリアーのペースを上げていくと最後は前輪の方から滑らかに軌跡が膨らみはじめる。

これがX-ICE3+だとちょこちょことグリップが途切れて不安定になる。その差はかなり“顕著”だった。

スタッドレスの試乗でクローズアップされるのは制動距離で、今回は先代に比べ雪上で4%、氷上で9%向上と謳われている。

もちろん雪上と氷上のブレーキングテストではこれらの数値を裏付ける性能アップを体感できた。

けれどコーナリングにおける安定感の高さ、滑り出しが穏やかさは、ブレーキングの数値以上のものがあると感じられたのである。

X-ICE3+のデビューから3年しか経っていないが、これだけのものが開発できれば、出し惜しみをしている場合ではないだろう。

だが今回体感できた性能以外にも「だったら欲しい!」と思わせるポイントがあった。

冬タイヤ、長持ちしなきゃ欲しくない

実は去年まで、筆者の愛車BMW 318tiの冬タイヤはミシュランだった。それも6年落ち……。

山は残っているけれど、そもそもFRだし、雪道が楽しい(怖い?)のなんの。

ミシュランX-ICE SNOW
ミシュランX-ICE SNOW    ミシュラン

ま、6年落ちのそれにケチなど付けられないが、可能な限り長持ちしてくれないと欲しくない、というのは万人に共通する思いだろう。

今回のX-ICE SNOWは当然のように長持ちを謳っていたが、その理由に驚かされた。

溝底部まで新開発の「EverWinterGrip」コンパウンドのみ形成しているのだという。

通常のスタッドレスはトレッドの上半分に効きゴム、下半分は剛性を保つための硬めのゴムを使う場合がほとんど。

だから半分まで山が減ってくると、見た目はイケそうでもグリップが芳しくなくなってくる。

ちなみに今回、一般道のアスファルトが露出した場所で少しだけタイヤの撚れもチェックできたのだが、スタッドレス特有のふらつきや曖昧な感触は特に感じられなかった。

グリップ感が高く、安定していて、ドライの違和感もなし。そして長持ちの部分はこれまで以上に期待できそう。

現在まで体験したことのあるスタッドレス・タイヤの中では、X-ICE SNOWが最もレベルが高い。

道産子ミシュランに期待していいと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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