スズキSX4 S-クロス 1.6 DDiS オールグリップ
公開 : 2013.10.04 20:00 更新 : 2017.05.29 18:41
■どんなクルマ?
新しいスズキS-クロスが英国でも発売が開始された。正しくはSX-4 S-クロスというネーミングなのだが、スズキも接頭詞のように付けられたSX-4という車名はいささか問題があると認めているようだ。このS-クロスは、プジー3008、日産キャシュガイ、キア・スポルテージなどとまさにガチンコ勝負をしなくてはならないモデルだ。
■どんな感じ?
われわれのためのテスト車として用意されたのは、£23,549(370万円)という価格の、トップ・グレードの4WDディーゼルだった。それでもキャシュガイよりも£2,000(31万円)ほど安い。しかし、このトップ・グレードはDABラジオ、ナビゲーション、バック・カメラ、クルーズ・コントロールを標準装備している。
S-クロスのグラウンド・クリアランスは、クロスオーバー・モデルの標準よりも低いが、それでも充分に高いドライビング・ポジションと大きなブート・スペースを持っている。偽物の4×4モデルが良くするようなマッシブでアグレッシブなスタイルを敢えて採用していないが、小綺麗で嫌味のないものだ。
その内側はかなり広いが、巨大というほどではない。このトップ・グレードのSZ5トリムでは、パノラミック・サンルーフが装備されているが、残念なことにこのサンルーフがセカンド・シートのヘッドクリアランスを犯してしまっている。背の高い大人にはセカンド・シートは窮屈に感じることだろう。しかし、通常のルーフであれば、パッセンジャー・スペースは、3008やイエティ程ではないが、十分なスペースが確保されている。
室内は柔らかいタッチの高級な素材が使われているが、そのクオリティは平均点。ただし、その計器やスイッチ類は極めて機能的で丈夫な作りだ。確かに、飾り気のないシンプルなものだが、価格を考えなければ充分に許容範囲ということができよう。
実際ハンドルを握ってみると、ヨーロッパでのテスト・ドライブ同様、非常に好印を受けた。きちんとしたもので、賞賛に値するほどの精度に加え、ほんの少しの厚いものが感じられるもの。パワー・ステアリングはダイレクトでじゅうbんな手応えを持つ。スプリングのレートはクロスオーバーとしては高めだが、その乗り心地は2級国道でも快適だった。但し低速ではハーシュネスが気になるし、ウインド・ノイズも若干荒々しい。優雅な乗り心地とは言えないが、ダンピングも良く効いており、その価格からすれば合格点だ。
フィアットから供給されるディーゼル・エンジンは、パフォーマンスと経済性のバランスが良くとれたパワー・ユニットだ。実際のテスト・ドライブでも18km/ℓ台の燃費をマークした。これは、3008やヴォグゾール・モッカなどよりも良い数値だ。
■「買い」か?
まずは試乗してみるだけの価値のあるクルマだ。確かに装備やパッセンジャー・スペースといった面でライバルに劣るところもあるが、バランスの良くとれた、しかも経済的にも優れた魅力のあるモデルである。確かに、現在発売されているクロスオーバーの中で最も洗練されたモデルかといえばそうではないし、最もスマートかと聞かれてもそうではないと答えることになるだろう。
しかし、全体的に見ればバリュー・フォア・マネーなモデルであり、オールシーズンのファミリー・カーとして高いパフォーマンスとユーザビリティが確保されているモデルでもあることは間違いない。
(マット・ソーンダース)
スズキSX4 S-クロス 1.6 DDiS オールグリップ
価格 | £23,549(370万円) |
最高速度 | 173km/h |
0-96km/h加速 | 13.0秒 |
燃費 | 22.7km/ℓ |
CO2排出量 | 114g/km |
乾燥重量 | 1305kg |
エンジン | 直列4気筒1598ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 118bhp/3750rpm |
最大トルク | 32.6kg-m/1750rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |