【楽しく上質な純EV】ポールスター2へ試乗 407psで航続距離469km 後編

公開 : 2020.07.15 15:20

お洒落なアーバン・クロスオーバー・スタイルの、ポールスター2。ボルボ傘下のブランドとして、初の量産純EVと呼べる、期待の1台です。最大のライバル、テスラ3に並ぶ実力を備えるのか、英国編集部が評価しました。

オーリンズ製ダンパーにブレンボ製ブレーキ

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
印象深いデザインのポールスター2を支えるのは、スチール製のシャシー。前後に電気モーターを搭載する、四輪駆動となる。

リチウムイオン・バッテリーの容量は78kWh。車両中央のトランスミッション・トンネルと呼ばれる部分と、シート下に分割してマウントされる。

ポールスター2(英国仕様)
ポールスター2(英国仕様)

車重は、75kWhのバッテリーを搭載するテスラモデル3より200kgも重い。ポールスターによれば、求める運動性能に足りるシャシー剛性と、ボルボをルーツとするブランドとしての衝突安全性能を得るために、必要な構造を与えた結果だという。

純EVの中には、衝突安全性に疑問がなくはないモデルもある。ポールスター2なら、そんな心配はいらないだろう。

サスペンションは、フロントがストラット式で、リアがマルチリンク式。今回試乗するポールスター2には、5000ポンド(67万円)のパフォーマンス・パッケージが装備されていた。

車高の下がるコイルスプリングに、手動調整式のオーリンズ製のモノチューブ・ダンパーが組まれている。ホイールは20インチの鍛造品。強力なブレンボ製ブレーキと、金色のシートベルトも得られる。素晴らしい内容だと思う。

パフォーマンス・パッケージを装備したポールスター2は、工場出荷時のノーマル状態でも、驚くほど硬い乗り心地だった。波長の長い起伏なら快適といえるものの、振動はトゲを感じる。姿勢制御は、サーキットマシンのように引き締まり、不意の入力も目立つ。

好印象なダイレクトさとシンプルさ

ポールスター2の設定は、折角のオーリンズ製ダンパーを活かせていないように思う。5000ポンド(67万円)ものお金を、上乗せしているのに。筆者の感覚では、機敏で安楽な純EVに求める足まわりではない。

もし自分のクルマなら、手動で調整できるダンパーのノブを回して、柔らかくするだろう。フロント側はストラットの下、リア側は、ホイールアーチ内のパネルに隠れているそうだ。

ポールスター2(英国仕様)
ポールスター2(英国仕様)

低速域での乗り心地が良いとはいえないものの、ポールスター2には、好印象なダイレクトさとシンプルさがある。運転を楽しみたいと思わせてくれる。

人工的なエンジンサウンドのようなものはない。ドライビング・モードもない。スターターボタンもない。キーを持ったまま車内に入り、ブレーキペダルを踏んで、ギアセレクターをDに入れるだけ。ポールスター2は静かに進み出す。

設定次第では、ワンペダル・ドライブが可能。エネルギーの回生量を少なくしたり、まったくせずに惰性で走らせることもできる。

静止状態でブレーキペダルを離すと、クリープのようにゆっくり進ませることも可能だ。ステアリングホイールの操舵感を、重くしたり軽くしたりも任意で選べる。

操舵時の重さは関係なく、ステアリングフィールは少しゴムっぽい。アシストも強く、実際的な感触はほとんどない。

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