【冷や汗も……】信用できるホンモノに乗ってますか? 最上級ジープで試すワイルドな地平 試乗

公開 : 2020.07.13 05:50  更新 : 2021.10.13 15:49

長野県白馬村といえば、1998年の長野オリンピックのスキージャンプ台が有名。大雨のなか、直滑降をジープの最上級「トレイルレイテッド」バッジをつけたモデルで走りました。新しいクルマ生活様式のドアが開く?

ジープの最上級、どこで試せるのか?

photo:Sho Tamura(田村 翔)
edit:Taro Ueno(上野太朗)

松竹梅ではないけれど、クルマのラインナップに性能的、価格的な幅があるのは常識といえる。

では「上のヤツ」を選ぶと何がどうなのか? ブランドの個性がより鮮明に体感できるのだと思う。例えばGT2~3のポルシェ、メルセデスのAMG、BMWのM、ジャガーランドローバーのSVRのような。

ジープ・ラングラーが手にした「トレイルレイテッド」バッヂ。
ジープ・ラングラーが手にした「トレイルレイテッド」バッヂ。    田村 翔

オフロード生まれのアメリカ車代表、ジープにも最上級のモデルが存在している。

車名の末尾のトレイルホークやルビコンといった名称によって判断できるのだが、それよりも手っ取り早いのはフロントフェンダーの肩に丸いエンブレムを見つけることだ。

トレイルレイテッドと記されたそのバッヂは、ジープが独自に定めた走破性の試験をクリアした証である。

渡河性能や障害物を乗り越える際に欠かせない地上高、アプローチ&デパーチャーアングルが優れていることはもちろんだが、デフロック機構に関しても最上級のものが装着されていると考えていい。

スーパーカーの性能がサーキットでしかフルに発揮できないように、トレイルレイテッドの真価を公道で体感することは不可能に近い。

今回、「JEEP ADVENTURE at HAKUBA」と銘打った試乗会が開催された目的は、ワイルドなステージでJEEPのポテンシャルをフルに試すことだった。

「誰かひっくり返すぞ」恐怖の直滑降

オフロード系4駆モデルの試乗会がオフロード・コースで開催されることは少なくない。

でもその手の試乗スタイルに慣れているジャーナリストにとって、正直それは予定調和。「言われた通りにすれば安全なんでしょ」という遊園地のスリルに過ぎないのである。

ジープ・ラングラー(上) /FCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長(下)
ジープ・ラングラー(上) /FCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長(下)    田村 翔(上)/FCAジャパン(安井宏充)(下)

「そんなのおかしい! アメリカと同じようにワイルドな場所で試乗会をしよう!」と言い出したのはジープ・ブランドを含むFCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長本人だったという。

鶴の一声があれば、そりゃあヤルしかないでしょう。

スキー場の斜面に設定された今回のコースは、事前にプロが試して安全を確認している。

ところがそこに「予想外」が加わった。連日のように降り続く雨である。

結果から言うと、ラングラー専用に設定されたタフなコースは、ラングラーの最上級の走破性能もあって「写真映えはするが」安全パイだった。

一方それ以外のモデルのために設定されたコースがヤバかった。濡れた草とぬかるんだ土はまるで圧雪の如し。

長野県白馬村といえば、1998年の長野オリンピックのスキージャンプ台が有名だが、まさにそんな感じの直滑降。

試乗会の初日に参加した誰もが「これは誰か転がすぞ!」と確信するほどタフなコンディションだったのである。

記事に関わった人々

  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 田村翔

    Sho Tamura

    1990年生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、2013〜2020年までアフロスポーツのメンバーとして活動。2020年よりフリーに転向。光と影を生かしながらレーシングカーやアスリートの「美」と、報道的かつ芸術性を追求した表現を目指し、モータースポーツと国内外のスポーツ競技を撮影する。日本レース写真家協会(JRPA)会員/日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。

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