【想定外? ディーゼル専用車へ】デリカD:5にみる三菱の未来 気になる日産との今後の連携
公開 : 2020.07.12 05:50 更新 : 2021.09.11 00:19
デビューから13年間、基本的な構造を維持したままでも根強い人気を誇る、三菱「デリカD:5」。追い風が吹いたのには2つの理由がありました。ディーゼル一本化、日産との連携の影響を桃田健史が考えます。
デリカ注目度、最初はさほど高くなく?
いかつい顔立ちと、ミニバンらしからぬ無骨なボディ形状が、このクルマの存在感を際立たせる。
しかも、心臓部には強靭なディーゼルエンジンを持つ。
デビューから13年間、基本的な構造を維持したままでも根強い人気を誇る、三菱「デリカD:5」。デリカは、三菱自動車がまだ三菱重工業自動車部だった時代の1960年代に誕生した、商業バンとトラックを起源とする。
D:5という、日本車としては極めて稀な表記で、ディーファイブと読ませる。4代目までの商業車デリカに次ぐ、5代目を示す。
いま(2020年)から15年前の、第39回東京モーターショー(一般公開:2005年10月21日~11月6日)。当時、三菱ブースでメディアや来場者が最も注目していたのは、三菱レッドカラーの「コンセプトX」。
ランサーエボリューション最終バージョンとなる「エボX」の原型だ。三菱ブースの主役は明らかに、コンセプトXだった。
同時に発表されたのが、「デリカD:5コンセプト」。配布されたプレスリリースには、ワンボックスオフローダーと明記されていた。
同年、三菱はSUV初代「アウトランダー」を発売しており、デリカD:5コンセプトの想定エンジンはアウトランダー共通の直列4気筒2.4L MIVECガソリンエンジンだった。
デリカついにディーゼル専用モデルへ
2005年のコンセプトモデル登場時、2020年代入ってもデリカD:5が人気車であり続けるとは、誰も予想していなかったに違いない。
デリカD:5人気を下支えしているのは間違いなく、ディーゼルエンジンだ。
2007年に量産が開始されたデリカD:5は、コンセプトモデルと同じく2.4Lガソリンエンジンが主力で、FF向けに2Lガソリンエンジンも搭載。
だが、結果として、ワンボックスオフローダーを名乗るには、ガソリンエンジンでの運動性能が物足らなかった。
また、2Lガソリンでは、ミニバンで先行するトヨタ、ホンダ、日産に対して、はっきりとした商品性の差を打ち出せなかった。
そうした中、発売から6年が経った2013年、一般的な車種ならばフルモデルチェンジの時期だが、ここでディーゼルエンジンを投入した。
2012年に、マツダが満を持して独自の燃料理論で開発したスカイアクティブを導入。その第一弾として、新規設定のSUV「CX-5」を発売。
受注の主流が、ディーゼルエンジンのスカイアクティブDとなり、日本にクリーンディーゼル旋風が吹き始めた。
国からはEVなど電動車の他、クリーンディーゼルについてもユーザーへの購入補助金が設定された。
こうした時流も踏まえて、デリカD:5の2.2Lディーゼル化が決定されたと見るのが妥当だ。