【想定外? ディーゼル専用車へ】デリカD:5にみる三菱の未来 気になる日産との今後の連携
公開 : 2020.07.12 05:50 更新 : 2021.09.11 00:19
デリカD:5、もう1つの追い風が
もう1つ、デリカD:5に追い風となったのが、アウトドアに対する新トレンドだ。
日本では80年代から、三菱「パジェロ」に代表されるRV(レクリエーショナル・ヴィークス)を使ったアウトドア志向が、ユーザーの中で定着してきた。
それが2010年代入り、女性向け登山ファッションにおける「山ガール」ブームや、「スノーピーク」などテント関連メーカーの多様な商品戦略などが活発化。
そうしたアウトドアの新領域でのアイテムの1つとして、クルマのオフローダー需要が増加した。
そこで、家族全員で乗れて室内空間が広くて、しかも走りがガッシリとして重厚なワンボックスオフローダーのデリカD:5を再評価する声が高まった。
再評価という観点のみならず、2000年代から2010年代中盤のデリカD:5の存在を知らない、または気にしていなかった新規ユーザーにとって、デリカD:5に対して、2007年デビューという古さを感じなかったのだと思う。
その上で、新規ユーザーが納得したのが、ディーゼルエンジンの力強さと燃費の良さだ。
三菱自動車によると、2019年度の発売総数1万6553台のうち、ディーゼル比率は91%に達した。
2019年2月、登場から12年ぶりのビックマイナーチェンジで、デリカD:5はディーゼル専用モデルとなり、2020年4月に三菱ウェブサイトからガソリン版の表示が消えた。
日産との連携 ディーゼルどうなる?
D:5搭載の2.2Lディーゼルは、SUVの「エクリプスクロス」でも2019年6月から採用した。
三菱自動車によると「ディーゼル投入以降は、ガソリン車の4WD比率が減少している。4WDの高い走破性、走行安定性を求めるお客様はディーゼルを選ぶ傾向がある」と分析している。
では、日本での乗用ディーゼルエンジン市場、今後の見立てについてはどうか?
「欧州では(2010年代半ばの独メーカーによる)排気ガス問題発覚以降、ディーゼルエンジンのシェアは落ちてきたが、日本では欧州の動向の影響は見られず、乗用ディーゼルの需要は安定的に推移すると考えている」との見解を示した。
その上で、ルノー日産三菱アライアンスを考えると、次期アウトランダーが次期エクストレイルとの部品共通化が大きくなることは確実で、そうなるとPHEV(プラグインハイブリッド)の採用がデリカD:5にも及ぶ可能性があるのだろうか?
これについて「電池等の電装品搭載が室内空間、荷室容量に与える影響を考えると、現段階では予定はない」と、ミニバンであるデリカD:5には現状ではPHEVは不向との解釈だ。
三菱自動車のコアユーザーを下支えする、クリーンディーゼルエンジン。
今後も継続的な改良、また新設計を大いに期待したい。