【74.2kg-mの極太トルクが生む余裕】新型 アルピナD3 S ツーリングへ試乗

公開 : 2020.07.16 10:20

0-100km/h加速4.8秒、最高速度270km/h

D3 S最大の魅力は、豊富に湧きいでる、有り余るほどの力強さ。0-100km/h加速4.8秒という時間は、低いギアで体験できる桁違いのパフォーマンスを表現しきれていない。

一方の最高速度は270km/h。秀でた性能が理解できる速度だ。

アルピナD3 S ツーリング(欧州仕様)
アルピナD3 S ツーリング(欧州仕様)

今回の試乗はサーキットのみ。それでも、増強されたトルクが生み出す走りが、どれだけ安楽なロングツーリングを与えてくれるのかは、想像に難くない。

確かに、ディーゼルエンジンは磨き込まれたガソリンエンジンほど、感情の高ぶりをもたらしてくれるわけではない。目一杯引っ張っても、5000rpm程度しか回らない。しかし中回転域のたくましさが、その不足を補って、さらに余りがある。

3000rpmも回ったら、シフトアップして構わない。すぐさま最大トルクが発生し、激しい加速が引き継がれる。

トランスミッションはZF社製の8速AT。こちらもアルピナの手によって、トルクコンバーターは強化されている。豊かなトルクを無駄なくタイヤへ伝送する、素晴らしい仕事をしてくれる。

変速は、コンフォート・モードなら至ってスムーズ。しかしスポーツ・モードを選ぶと、突如容赦ないキビキビとした性格へ変わる。

サスペンションは、アルピナによる新しいスプリングとダンパーを採用するだけでなく、アンチロールバーも専用品。タイヤはアルピナ向けに開発された、ピレリPゼロだ。グリップレベルは常に高く、限界領域での挙動も掴みやすい。

突出した中間加速と高い洗練性

アルピナD3 Sは、トラクションも不足はない。M340dの四輪駆動システムへ手が加えられ、パワーとトルクを確実に路面へと伝える。

動的性能も、極めて好印象。重いエンジンがフロントに載っていることに気付かされるものの、流れるように滑らかな身のこなしと姿勢制御が、ベースのM340d以上であることは確実だ。

アルピナD3 S ツーリング(欧州仕様)
アルピナD3 S ツーリング(欧州仕様)

コーナリング中は、好ましいニュートラル姿勢を保持。オーバーステアへ転じるのは、きっかけとなる強いアクセル操作を与えた時くらい。もし高性能なディーゼル・ワゴンをお探しなら、D3 Sツーリングは一見の価値がある。

ガソリンエンジンを搭載したB3のように、レスポンスに優れた方向転換は得られない。しかし突出した中間加速と、高い洗練性を楽しむことができる。

ディーゼルエンジンだから、燃費も満タンでの航続距離も不満はないだろう。だたし、C02の排出量はM340dより40g/km多い、199g/kmであることには触れておこう。

燃費は、性能を考えれば納得の13.2km/L。アルピナD3 S ツーリングは、どんな状況でも、完璧な日常の相棒になってくれるだろう。

アルピナD3 S ツーリング(欧州仕様)のスペック

価格:5万5950ポンド(749万円)
全長:4719mm
全幅:1827mm
全高:1440mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:13.2km/L
CO2排出量:199g/km
乾燥重量:2010kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:355ps/4000-4200rpm
最大トルク:74.2kg-m/1750-2750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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