【いまだからこそ?】メルセデス・ベンツ「124」に惹かれる背景 オーナーが検証してみた
公開 : 2020.07.14 05:50
124、何より快適さが半端じゃない
直径の大きなステアリングホイールは、見た目とは裏腹に繊細な操作に貢献している。
高速道路で実感できる圧倒的な直進性は、大きく寝かされたキャスターとこのステアリングに拠るところが大きいはずだ。
スポーティじゃないという人も居るけれど、速く曲がりたければ速く操舵すればいいだけの話である。
そうした部分も含めた走りが、やはり124シリーズの今もって最大の魅力と言っていいだろう。何より快適さが半端じゃない。
今、これを超える乗り心地をもたらしてくれるクルマなんて、他には思い浮かばないほどだ。
サスペンションは路面からのあらゆる入力をきれいに受け流す。縮んだあと、ゆっくり伸びていくから目線がブレず疲れない。この設定は絶妙の一言に尽きる。
クッション性が心地良いシートも絶品。特にオススメは布シートである。
普段はこうして快適性が際立っているのに、速度が高まるにつれて挙動がビシッと引き締まってくるのも、124の魅力だ。
挙動は落ち着いて曖昧なところが無く、絶大な安心感がもたらされる。まさに、アウトバーンを走るならこうじゃなきゃなという感触を味わえるのだ。
エンジンはわたしは直列6気筒派だが、4気筒でも他の排気量でも124らしさに大きく変わりはない。
但し4速ATだけは問題で、シフト操作をかなり丁寧にしないと、すぐ不機嫌になる。
気を使うし、実際すぐに調子を崩すから、正直、他人には自分の124、乗せたくないのである。
次に乗りたいクルマが無くなる……?
124を走らせる度に思うのが、果たしてクルマは、この頃から確実に進化したと言えるのかということだ。
衝突安全性能、燃費、ADASといった辺りはさすが時代を感じるが、それ以外には正直、引っかかる要素はまったく無いと言っていい。
正直に言えば、走り出す時にはいつも「さすがに古さが目立ってきたな」と思う。しかし、それが5分もしないうちに「やっぱり124サイコー!」となるのが、いつものパターンなのだ。
全幅1740mmしかないサイズながら、大人5人、ステーションワゴンなら何と7人がしっかり乗れて、荷物も満載できるパッケージングだって何の不満も無い。実はクーペでも、荷室にタイヤ4本をすんなり飲み込むである。
クルマが様々な規制にがんじがらめになる前の時代に、理想を追いかけ続けて至った究極。124シリーズを、そういうクルマだと評しても、異議を唱える人はきっと居ないだろう。
冒頭で示したような相場の形成を後押ししている、今124シリーズの乗りたいと考えている人は、それこそカッコ良さや憧れから関心を示しているのだろう。
安心してほしい。もし手に入れたら、124シリーズはきっとその思いを裏切らない。
オーナーの誰もが「次に乗りたいクルマが無い」と言う。ここまで読まれてきた方は、きっとこの世界の入口に立ってらっしゃるのだろう。
ようこそ124シリーズの容易には抜けられない世界へ……。