1933年、雪のポー・グランプリ

1930年、フィリップはブガッティ・タイプ35Cをドライブ。英国人ヒーロー、ヘンリー・ティム・バーキンが、ベントレーで執拗に追いかけた。それから3年後、全長2.5kmのストリート・サーキットが完成。モナコに匹敵する規模だった。

南フランスといえども、レースは2月19日。主催者は温かい天気になると自信を持っていたようだが、当たらなかった。

ポー・グランプリには、印象的な18台がエントリー。ブガッティが大きな車群で臨んだ。マルセル・ルックス、ガイ・モール、ルネ・ドレフュスといったフランス人レーサーは、ブガッティ・タイプ51をドライブ。若きルイ・トランティニャンは、タイプ35Cを駆った。

ブガッティ軍団に挑んだのは、4台のラテン・エキゾチック。ジャン・ド・マレプレーンは古びたマセラティ26M。そして、ピエール・フェリックスとジャン・ピエール・ウィミル、フィリップ・エトンスランが、アルファ・ロメオ8Cに乗った。

フィリップとしては2台目のモンツァで、シャシー番号は2211097。ミラノからポーの街へ、直送されたマシンだ。37才のフィリップは、キャップを後ろにかぶる姿がトレードマーク。人気者のレーサーで、最高のマシンを手配する余裕があった。

ポー・グランプリは、1週間の日程で開催された、自動車をテーマにしたイベントのハイライト。金曜日にプラクティスが開かれたが、ドライコンディションで新コースの試走をしたドライバーは、10名だけだった。

街の背後には、ピレネー山脈。入場は無料。刺激的な雰囲気で溢れていたはず。

この続きは後編にて。

画像　アルファ8Cモンツァと21世紀の8C　全35枚