【ピカピカのアマゾンは記憶の証】ボルボ・アマゾン123GTと122S 後編
公開 : 2020.07.26 16:50 更新 : 2020.12.08 08:33
ガレージから出して運転を楽しむ方が良い
「わたしも細かい性格ですが、忍耐力には限りがありますし、費やすべき時間も考えます。父はひたすら働きました。不足する道具や資金を、手仕事で克服したんです」
強い決心のもと、デクランはアマゾン123GTをNECクラシック・モーターショーに間に合わせた。「イベント当日の午前3時まで、ガレージで作業していました」 笑いながら話すデクラン。
「1時間半ほど仮眠をとって、出発しました。時間がなく、走行テストはなし。初めて完成した123GTを運転したのは、会場に着いてトレーラーから降ろす時です。とても感動しました」
「わたしの母も一緒で、1990年代にクルマが売られて以来、122Sを目にしていませんでした。母も、わたしがどれだけ123GTに作業を費やしてきたのか、どれだけ特別な存在であるのか、理解してくれています」
「父との記憶を思い出せる、かけがえのないクルマです。子供の頃のクルマですからね」 4ドアの122Sを見つめながら話すデクラン。
「同じ配色のアマゾン122Sと123GTが並ぶ光景には、本当に感動しました。言葉にできないほど」 2年間を投じたレストアが終了し、いまは気楽に自動車ショーでクルマを磨く毎日だ。
父との記憶に突き動かされたデクランだが、自身では賞の獲得を目指すつもりはない。「コンクールへの参加は、不健康な強迫観念に縛られてしまいます」
「父との記憶の証として、このクルマを仕上げたのです。飛び石キズが付いても、気にはしません。わたしはガレージから出して、運転を楽しむ方が良いですね」