【最高速度400km/h超】マクラーレン・スピードテールへ試乗 1070psのハイパーGT 前編
公開 : 2020.07.19 10:20
ドライバー左右の席はF1よりタイト
運転席頭上のヘッドライニングには、頻繁に使用する機能のボタンが並ぶ。エンジンのスタート/ストップや窓の開閉など。それ以外のボタン類は、運転席前方の視界には存在しない。
とても爽やかで、クリーンな美しさを持つインテリアだ。同等のデザインを、手頃なモデルへ与えることができれば、マクラーレンはさらに多くのユーザーを獲得できると思う。
意外にも、左右のパッセンジャーシートは、一般的なスーパーカーより居心地が悪い。意外なことに、マクラーレンF1よりも。
身長の低いドライバーで、運転席が前にスライドしていれば、さほど問題はないだろう。しかし背の高いドライバーが座ると、左右の席は、肩周りの空間が足りなくなる。小柄な大人や子供なら問題ないと思うが。
でも、スピードテールはハイパーGT。週末のドライブ旅行を計画するオーナーもいるはず。予め確かめておかないと、同乗者からは不満が出てしまいそうだ。
対象的に、荷室の広さには驚かされる。フロントノーズに大きな空間があり、テール部分にはそれ以上の容量の荷室がある。2人でのドライブなら、片方の助手席も使える。
一方で車内にはほとんど小物入れがない。左右の助手席下の、小さな空間くらい。
マクラーレン・スピードテールには、トリムグレードやオプションパッケージといったものはない。オーナーはマクラーレンのデザイナーと一緒に、自分好みのインテリアをオーダーできる。
もし自身が選んだ内装を、ほかのスピードテールに選ばれたくなければ、制限もできるそうだ。1台限りのスピードテールになるわけ。
ほかのマクラーレンと同じV8サウンド
1台1台がオーナーに合わせた仕様で作られるため、最終的な金額には幅がある。ベースの車両価格は210万ポンド(2億8140万円)だが、特別な塗装で仕上げるだけでも10万ポンド(1340万円)ほどは必要だという。
露出した部分のカーボンファイバーは、ほかのマクラーレンで用いられている繊維の3分の1という細さ。もし希望すれば、純金を織り交ぜて編み上げ、成形することもできる。
内装に用いられるレザーは、標準のマクラーレンより30%軽量だが、薄いわけでも耐久性で劣るわけでもない。塗装の一部は手で仕上げられる。フロントにあしらわれるエンブレムは、純金やプラチナでの制作も可能。マクラーレンの刻印が施される。
ざっくり、平均で300万ポンド(4億200万円)以上は支払われるのではないだろうか。
そんな特別なスピードテールだが、エンジンの始動方法はほかのマクラーレンと同様。放たれるサウンドも同じで、少し拍子抜けしてしまった。
エンジンはマクラーレンで共通の、フラットプレーン・クランクを持つ4.0L V型8気筒。同じ音なのは当然ではある。たとえマクラーレンが気筒数を増やしたとしても、製造台数は106台だから、恐ろしく高価なユニットになってしまう。
でも、F1はV型12気筒だった。もしハイパーGTというなら、V12の方が良い。
スピードテールを郊外の道路の流れに乗せる。最高出力は1070psもあるが、現実的な交通環境にも楽に合わせて運転できることに唸らされる。ちなみにエンジンは757ps、電気モーターは313psを発生する。
この続きは後編にて。