【プラグインの評価は?】トヨタRAV4 PHV試乗 ハイブリッド仕様との違い 充電/内装/荷室は?

公開 : 2020.07.21 11:20  更新 : 2021.12.28 00:03

最低地上高/安全装備/荷室

その他の走行関連の機能は、HVのEフォー車に準じている。

4WDのトルク分配制御ではスタックからの脱出を想定し、前後輪のトルク分配に加えてブレーキを用いた電子制御LSD効果を強化したトレイルモードを設定。

トランク下のスペースはPHV化によってこのとおり。荷室のアレンジも写真に撮ってきたので確認して欲しい。
トランク下のスペースはPHV化によってこのとおり。荷室のアレンジも写真に撮ってきたので確認して欲しい。    前田恵介

重量増は多少気になるものの、195mmの最低地上高(ブラックトーン:200mm)と合わせて他標準系に勝るとも劣らない悪路踏破性が期待できる。

全車速型ACCや前走車追従モードを備えた走行ライン制御型LKA(レーン・キーピング・アシスト)などのトヨタ・セーフティ・センスの内容も共通。フットワークは重量増が利いてか沈み込みを意識する重質な味わいが深まったが、大まかにはHVに似た味わい。

ダートランナー的な適度な硬さで、収まりと追従性のいいハンドリングを示す。

床下収納スペースが減少しているが、それ以外のRAV4の魅力は維持もしくは上乗せ。アウトドア趣味を楽しむためのSUVらしい実用性を備えている。

「買い」か?

RAV4 PHVの注目して欲しいスペックの1つは、HV走行でのWLTCモード燃費。

市街地/郊外/高速の全モードで標準系Eフォー車を上回っている。とくに、市街地モードでの上げ代が大きい。

トヨタRAV4 PHVブラックトーンの後席内装。
トヨタRAV4 PHVブラックトーンの後席内装。    前田恵介

標準系Eフォー車より210kgも重くなって不思議に思えるかもしれないが、重量増は運動エネルギーの蓄積量増に直結。加速で消費したエネルギーを回生で効率良く回収できれば、損失は抑えられる。

効率的なHVでは、重量増は燃費のハンデにならない。要するにPHVは、回生ブレーキ効率が標準系HVから向上しているのだ。

高速モード燃費の向上については、モーターの高出力化で電動の効率低下速度域が高まったと考えるのが妥当だろう。HVシステムそのものがグレードアップしているのだ。

だからといってHVとの価格差を燃費で回収するのは無理。

新型車PHV 向いているユーザーは?

満充電からの300kmドライブをしたとしても、燃料代(除充電代)の差額は800円(150円/L換算)前後。

週一のペースで70万円を回収するには18年も掛かってしまう。ならばEV走行レンジの95kmで計算すると9万km以上の走行距離が必要。

トヨタRAV4 PHVブラックトーン。
トヨタRAV4 PHVブラックトーン。    前田恵介

言うまでもなくEVモードだけで10万km近く走れるならEVを選んだほうがいい。つまり、経済的に考えればPHVを選ぶメリットはない。

それでもRAV4 PHVは魅力的だ。

EV走行だけでなくHVとしての性能に優れる。SUVとして良質な走り。アウトドア趣味に使いやすいキャビンやボディワーク等々。

高価といってもプレミアムSUVとすれば納得できる価格。

もちろん、エコ性能やアウトドア趣味を軸脚にした価値感の上でだが。寧ろアウトドア趣味を楽しみたいからこそ、環境負担の少ないSUVを求めるユーザーには当を得たモデルといえよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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