【あぁ、もう一度会いたい……】華麗に花咲いたアメ車大型ステーションワゴン 4選
公開 : 2020.07.26 05:50
レトロ戦略からの派生 衝撃の登場
なんとも衝撃的な登場だった。
2001年の北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)。当時のビック3(GM、フォード、クライスラー)は、それぞれが新しい商品戦略を積極的に打ち出していた。
なかでも目立ったのが、クライスラーだ。往年のエンジンブランドであるHEMI復活を大々的に謳い上げ、ハイパフォーマンスかつ派手なボディデザインを続々と発表していった。
そうしたなか登場したコンセプトモデルが「ダッジ・スーパー8」
50年代を彷彿させるレトロな面構えと、高いウエストラインによるガラス部分の狭さが、ボディ全体をシャープに見せるという、なんともいえないアンバランスさが魅力的だった。
驚きだったのは、04年にクライスラー「300C」として量産されてからの派生車たちだ。
ステーションワゴンタイプの「ツーリング」の他、ダッジブランドではより攻撃的なイメージのステーションワゴン、ダッジ・マグナムが登場。
当時、セダンは300Cで、ワゴンならマグナム、というのがトレンドとなった。
また、チューンドエンジン搭載のSRT8の乗り味は、強烈なダイレクト感が印象に残っている。
ただし、こうした熱いトレンドはリーマンショックによるクライスラーの事実上の経営破綻により、短期間で消え去ってしまった。
なんと日本版ハリアーに転換?
2000年代でのステーションワゴンっぽいクルマで、もう1台印象深いアメ車がある。
正確にいえば、アメリカ市場を最優先とするトヨタ車。その名は「ヴェンザ」だ。
2005年のデトロイトショーで、FT-SXコンセプトとして登場。08年に量産されるのだが、06年の時点で、デザインを担当したアメリカのトヨタデザインスタジオCALTY(キャルティ)で、FT-SXコンセプトの実車を見ながら、担当デザイナーからじっくり話を聞いたことがある。
彼の口からは「昔のステーションワゴンのイメージで……」というフレーズが出た。
この時点ですでに、アメリカでのセダンからSUVへのシフトが始まっていたが、80~90年代のステーションワゴントレンドや、ダッジマグナムへの対抗意識などから、北米「カムリ」の派生車を企画したのだ。
だが、結果的にはヴェンザは北米ではマイナーな存在に留まってしまった。
そして2020年、新型「ヴェンザ」を名乗ったのは、なんと日本版「ハリアー」であった。
ハリアーは2代目までが、レクサスRXとしてアメリカで人気を博した。まさか、ヴェンザとしてハリアーがアメリカに里帰りするとは!?
残念ながら2020年現在、アメリカではステーションワゴン復活の気配はない。
再びトレンドが訪れることはいつになるのか? もう2度とブームは来ないのか……?