【スカイアクティブ-XとGとを比較】マツダ3 2.0(最終回) 長期テスト
公開 : 2020.07.25 11:50
期待ほどではなかった「X」
しかも、最大トルクを得られるのは3000rpm以上の回転域。そこまで回さないと、スカイアクティブ-Xのアドバンテージは得られない。一方でそこから上は、両者の違いが変化していく。
どちらのエンジンも高回転域まで吹け上がるが、Gの方は5000rpmに迫ったあたりで明確にパワーの伸びが弱くなる。Xの方は、まだこれから、という余裕がある。
カタログ値での差は小さくない。0-100km/h加速時間は2秒以上の開きがあるし、最高速度は19km/hもXの方が速い。
どちらもシフトダウンを積極的にして、高い回転域を保つ方がフィーリングが良いようだ。ただし、マニュアルを駆使しても、サウンドはあまり心地良いものではないけれど。
長期テストの期間、スカイアクティブ-Xの平均燃費は15.2km/Lだった。一方で、スカイアクティブ-Gを1週間走らせた燃費は、14.9km/Lほど。
試乗内容が違うから、直接の比較はできない。長期的に見た場合、Xの方がより優れた差として表れるとは思う。
XとGとの価格差は、英国では1500ポンド(20万円)。ガソリン代で取り戻すのは難しいかもしれないが、パワフルだという見返りもある。
総合して考えると、スカイアクティブ-Xの革新度は、期待ほどではなかった。性能の差はあるものの、優位性は限定的だと思う。
自然吸気で180psもある4気筒として考えれば、燃費は評価できる。しかし、フォルクスワーゲンの1.5 TSIエンジンなど、競合するダウンサイジング・ターボエンジンの場合、最高出力では劣るものの燃費は同等。低回転域から中回転域にかけては、力強さもある。
今でも視線を感じるデザイン
スカイアクティブ-Xエンジンとしての評価は別として、マツダ3との時間はとても楽しいものだった。英国の道でも見かける回数が増えてきたが、今でも周囲からの視線を感じる。より高級なクルマに乗っているドライバーからも。
インテリアは、このカテゴリーでは一番。普段遣いで利便性に問題を感じたこともない。
マツダ3はドライバーに対する訴求力と、同乗者の快適性や長距離ドライブの安楽さなどのバランスがとても良い。長期テストは終了となるが、マツダ3の強い好印象は、筆者の心に残るはずだ。
セカンドオピニオン
ファミリー・ハッチバックでは、豊かな感情的な訴えは、成功する上での必要条件ではない。しかしマツダ3のインテリアは、無視できないほどの魅力がある。
試乗車の赤いレザーシートは好みが分かれると思うが、ふくよかなセンターコンソールと滑らかなダッシュボード、絶妙なクロームメッキの用い方には、ワンランク上の雰囲気がある。同クラスのライバルと比較しても、特別感は強い。 Felix Page(フェリックス・ペイジ)