【詳細データテスト】 ベントレー・フライングスパー F40と同等の加速 期待以上のハンドリング 快適性には注文あり
公開 : 2020.07.25 11:50
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
先代モデルと同じく、この新型もコンチネンタルGTのクーペやコンバーティブルと密接な関係にあり、製造も同じクルーのラインで行われる。しかし、ベントレーの発表によれば、ボディ関連でGTと共通のパーツは、ドアハンドルとドアミラーだけだという。
従来の2世代は、2ドアのデザイン言語を、ボディの長いサルーンへ無理なく引き映そうと苦心してきた。だが、3代目フライングスパーは、全面的にベントレーのデザイン部門のリアルな成果だと認識できる。
これまでより長くて低いボディは、存在感とヴィジュアル的な魅力を有り余るほど備える。アルミに熱と空気圧をかけて成型するスーパーフォーミングで仕上げたボディパネルは、スタイリングのシャープさに磨きをかけた。
デザイナーたちはクーペの筋骨隆々たる雰囲気を持ち込もうとはしなかったが、ボディ後部には、かつてなかったドラマティックさと視覚的な力強さが加わった。
コンチネンタルGTと同じく、フライングスパーもMSBプラットフォームがベース。これは、フォルクスワーゲングループ内で共用するべく、ポルシェが開発したコンポーネンツだ。
ホイールベースは先代比130mm延長され、フロントアクスルは前方へ移動。これらは、室内スペースの拡大に寄与する。
ベントレーのダイナミックライドこと、48Vシステムを用いたアクティブ制御のロールキャンセル機構は標準装備。四輪操舵は、ベントレーでは初の導入例で、全長5.3mもある車体の取り回しを向上する。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。3気室式のエアスプリングとアダプティブダンパーを、前後左右ともに装着している。
発売時に設定されるエンジンは、6.0LのツインターボW12のみ。635psと91.8kg-mというスペックはコンチネンタルGTと変わらない。トランスミッションは先代までのトルクコンバーターATに換え、ZF製の8速DCTが採用された。
クラッチ式のアクティブ4WDシステムは、現行コンチネンタルGTと同じメカニズム。後輪駆動をベースに、最大で40%の駆動力を前輪へ分配。この数値は、スポーツモードを選択すると減少する。ブレーキ式トルクベクタリングも装備している。
サイズが増大し、半自動運転的なドライバーズエイドが追加されたにもかかわらず、車両重量の公称値は2437kgで、先代より38kgダイエットしたことになる。テスト車の実測値は2500kgで、前後重量配分は53:47だった。