【量産最強4気筒をSUVに】メルセデスAMG GLA 45 Sへ試乗 走りに妥協なし

公開 : 2020.07.28 10:20

知的な四輪駆動システムの楽しさ

AMG GLA 45の強みは、直線加速だけではない。湿った路面でも、挙動はニュートラルで扱いやすい。アスファルトをしっかり掴み、落ち着きを乱すことはない。

低速コーナーから一気にアクセルを踏み込むと、わずかにトルクステアを感取できるが、それ以外の場面では操舵感は正確。重み付けも自然で、ホットハッチと比べてもフィーリングは良い。

AMG GLA 45の最大の特徴といえるのが、電動油圧式で制御される四輪駆動システム。リアタイヤの片側1本へ、最大100%の駆動力を伝達することも可能としている。

出色のスタビリティが、自然でバランスの良いコーナリングマナーを披露。アンダーステアもほとんどない。むしろ、ドリフトも可能だ。挙動は漸進的だから、コンパクトSUVとしては新手のダイナミクス性能と呼べるだろう。

電子制御されるリアタイヤのスライド量を信じることができれば、運転スキルがほどほどでも大丈夫。リアタイヤを流す、楽しい瞬間を味わえる。

A45より車重は100kgも重く、車高は190mmも高いことを忘れるほどに面白い。実感できることといえば、コーナー侵入時のボディロールが若干大きいことと、着座姿勢がSUVらしく高いことくらい。

低速域での扱いやすさも残されている。市街地や駐車場での切り返でも、素早い変速を叶えるデュアルクラッチATのマナーは優秀。滑らかな走りは、芸術的とすら思える。

乗り心地は硬いものの、不快さはない。オプションのアダプディブ・ダンパーを装備しているなら、普段は一番柔らかい設定で走れば良い。小回りは、程々といったレベル。

ドライビング体験の妥協は必要ない

インテリアはスポーティな内装トリムと黄色の差し色がなくても、居心地が良い。ただし、基本的には3万ポンド(402万円)のモデルと大きな違いはない。

筆者が気に入ったのは、ステアリングホイールにレイアウトされたドライブモードのスイッチ。ドライブトレインやサスペンションの設定を、手もとで切り替えられる。

メルセデスAMG GLA 45 Sプラス(英国仕様)
メルセデスAMG GLA 45 Sプラス(英国仕様)

車内空間は、先代と比べるとかなり広い。前席も後席も、荷室空間も余裕があり、世帯持ちのオーナーでも不満は感じないだろう。

GLA 45を選ぶか、A 45を選ぶかは、個人の好みによる。見た目と、プラスの予算をどう感じるかだと思う。

英国編集部としては、先代より動的性能や実用性が高められていても、A 45の方に魅力を感じている。AMG GLA 45はシリアスなパフォーマンスを備えているが、同じくらい価格もシリアスだ。

試乗車の価格を見れば、より大きくパワフルで、スポーティ度の高いモデルも充分に視野に入ってくる。例えば、ポルシェ・マカン・ターボやアルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオなど。

反面、メルセデスAMG GLA 45ほどの圧倒的なスピードと楽しさを備えたコンパクトSUVは、ほかに存在しない。多くの人にとって、スリー・ポインテッド・スターの価値に見合うモデルだと思う。

2代目へ生まれ変わった、メルセデスAMG GLA 45。SUVはドライビング体験で多少の妥協が必要だ、ということを覆すといっていい。

メルセデスAMG GLA 45 Sプラス(英国仕様)のスペック

価格:6万4775ポンド(867万円)
全長:4410mm(標準GLA)
全幅:1834mm(標準GLA)
全高:1616mm(標準GLA)
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:10.5km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1765kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:421ps/6750rpm
最大トルク:50.9kg-m/5000-5250rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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