【夢のスーパーカーの買い方】超高級会員制クラブ 元マクラーレンのブローカーに訊く
公開 : 2020.08.13 11:30
メーカーからは好まれない存在
LaSourceは売買の仲介だけでなく、各メーカーの販売枠も取り扱っている。
しかし、フェラーリやマクラーレンのようなスーパーカーの販売枠を獲得するには、ただ銀行口座の預金残高が多ければいいというわけではない。
どのようにして販売枠を手に入れるのだろうか?
「コレクターは、限定モデルにアクセスできるVIPのポジションを一度獲得すると、基本的にはすぐに手放すことはしません」
「しかし、財政状況が変化したり、モデルを好まない場合もあります。販売枠を手放す理由もたくさんあるのです」
「反対に、販売枠を欲しがっている人々も、割増料金を払ってでも手に入れたいと思っているのです」
当然のことながら、スーパーカーメーカーからは疎まれている。
「メーカーからすると、気に入らないと思われているでしょう。本来なら、自社ブランドを忠実に購入してくれる長期的な顧客に対して特別なクルマを販売することで、利益を上げようとするはずです」
「フェラーリなどは他社に劣らず排他的ですね。しかし、メーカー側もどこにお金があるのか知っています」
「この市場はこれから先もずっと存在し続けるので、我々は騒ぎを起こすことなく静かに仕事を進めています」
LaSourceは現在、マクラーレンP1 GTRやセナGTRに加えて、スピードテールやアストン マーティン・ヴァルキリーの販売枠を保有している。
また、ゴードン・マレーT50やブラバムBT62といったモデルも取り扱っている。
「売上に関しては、これら販売枠の販売が大半を占めています。私たちは、自分たちが絶対的に信じているものだけを取り扱います」
ヴァルキリー、スピードテールに注目
バンクスは、エンジニアとしての長年の経験(マクラーレンMP4-12C HSやMSO HSなどの開発を間近で見た)と調達の知識を活かし、バイヤーを支援することでLaSourceを成長させたいと考えている。
彼は言う。
「私は顧客から、『ワンオフモデルを作りたい』と相談されたことがあります。これが私の目指していることです」
「誰に依頼すればいいのか、アドバイスをしました。示された期限が短かったので、OEMではなく、より小規模な組織による小規模なプロジェクトをお勧めしました。これはもっとやってみたいことです」
自身のスキルを活かしたビジネスを成功させ、さらに拡大を図っているバンクス。
とはいえ、このような仕事をしているからといって、プライベートジェットを乗り回すような生活を送っているわけではない。
「海外旅行はあまりしません」
「ペブルビーチが最優先で、ヴィラ・デステやコンクール・デレガンスなどの特別なイベントにも参加します。同じ志を持つ人たちと話すのは、クルマを購入する必要があるときです」
LaSourceはクルマの保管施設を持っているが、現時点では売却されるまでオーナーの元に留まる傾向があるという。
現在、LaSourceのバーチャルショールームに掲載されているクルマのうち2台はジュネーブにあり、もう1台はロサンゼルスにある。
「我々は希少モデルを扱っています。価格帯は低いもので100万ポンド(1億3000万円)です」
「時折、それより安い価格のクルマを提供することもありますが、それは排他的で捉えどころのないものに限られます。これが私のタグラインです」
需要は常に変化しているという。直近で人気のあるモデルと、これから価値が高騰しそうなモデルを尋ねてみた。
12か月前
「アストン マーティン・ヴァルキリーは非常にホットな物件であり、今でも求められています」
2か月前
「マクラーレン・スピードテールは需要が非常に高いモデルです。すでに納車が始まっています」
将来的には?
「今のところ落ち着いているメルセデスAMGワンですが、PRが本格的に始まれば、きっと一番ホットなクルマになると思います」