【EV・家庭 相互に電力供給】アウディeトロン 電気自動車による双方向充電システムを開発中

公開 : 2020.07.29 17:50  更新 : 2021.02.09 23:25

アウディが、EVから家庭への電力供給を可能とする、双方向充電の開発を行っているそうです。具体的な実用化の話は出ていないようですが、電気代の節約や、停電時の活用などメリットも大きく、今後の進展が期待されています。

双方向充電システム

text:Will Trinkwon(ウィル・トリンクウォン)

アウディは、EVからの電力供給を可能にする、家庭用の双方向充電(ビークル・トゥ・ホーム「V2H」)の研究に取り組んでいる。

この技術は、アウディとヘイガー・グループが共同で開発し、電動SUV「アウディeトロン」で試用されている。

アウディの双方向充電システム開発車両
アウディの双方向充電システム開発車両

これにより、電気自動車は、家庭用電源から電力を受け取るだけでなく、電力を貯蔵し、さらに供給することも可能となる。

日中、自家発電した電力を自動車に蓄え、夜間はそれを供給することができることから、ソーラーパネルを持つユーザーには、特に有用とされている。

アウディの広報担当者は「家庭用の双方向充電は、電気代を節約することができ、ネットワークの安定性を高めます」

「家庭用ストレージユニットと組み合わせて、ほぼ完全に独立したエネルギー体系を実現し、停電時などにも安定した供給を可能とします」と述べている。

他社も同様のスキームを研究中

アウディよりも一足先に、日産が2017年に、デンマークで同様のスキームを試みている。

企業や団体のカスタマーを対象に、車両・グリッド間で相互に送電可能な充電器を使用し、クルマが使用されていないときに、電力を「販売」できる仕組みを作った。

アウディeトロン
アウディeトロン

その後、このスキームは英国へも導入されており、日産は、近い将来の普及にむけて研究を続けている。

同様に、ルノーは、2019年に双方向充電に適合させたゾエを、ヨーロッパ全体で15台導入している。

自宅にエネルギー貯蔵ユニットを設置する必要があった、日産の以前のシステムとは異なり、ゾエのシステムでは車体にエネルギー貯蔵ユニットが搭載されている。

アウディのeトロンでは、最大12kWの充電容量を持つDCウォールボックスと、9kWの容量を持つ家庭用ストレージユニットでテストが行われている。

アウディは、家庭用電気システムとeトロン間の接続にはインバーターが不要であり、非常に効率的であると主張している。

しかし、ハワイ大学による2018年の調査により、車両からグリッドへの充電がEVのバッテリーの劣化を加速させることがわかっており、一部の専門家はシステムの実行に懸念を示している。

アウディは、テストの実施中、特に問題はなかったとしたものの「まだ長期テストを行う必要があるだろう」と述べている。

今後のテストの予定、また生産車への採用については、明らかにされていない。

同社のスポークスマンは「今後の電気プラットフォームのモデルにとって興味深い技術」であると述べているが、具体的な計画はまだないようだ。

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