【若々しく活発なホットハッチ】スズキ・スイフト・スポーツ(最終回) 長期テスト

公開 : 2020.08.01 08:50

歴代で初めて、ターボエンジンを搭載した新型スズキ・スイフト・スポーツ。クラス・ベストのライバルと競える、運転が楽しくシンプルなホットハッチという個性のままなのか、長期テストで英国編集部が確認します。

積算1万2869km 明るいLEDヘッドライト

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)/Matt Burt (マット・バート)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
暗い夜でも、スズキの明るさが際立つ。といっても、黄色いボディではなく、LEDヘッドライト。

コンパクトカーにも明るいLEDライトが普及することは、良いことだと思う。対向車の接近だけでなく、路面もクリアに照らしてくれる。

スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)
スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)

最終回 スズキが生んだ個性的な1台

スズキは近年、個性的なクルマづくりで調子が良いように見える。サスペンションやハイテクなエンジン、シャープなハンドリングといった部分ではなく、コンセプトや性格的な魅力という側面で。

クロスオーバーのイグニスも悪くない。ジムニーも、ほかにはない個性がある。そして長期テストで乗ってきた、スイフト・スポーツもその1台。長期テストをこのように締めくくれてうれしい。

スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)
スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)

ホットハッチといえば、スリリングな走りで、ドライバーの気持ちを鼓舞してくれるクルマだ。スズキ・スイフト・スポーツも同様。性格付けやエネルギッシュさといった部分が、ドライバーをさらに笑顔にしてくれる。

確かに、走行性能や車内の知覚品質といった部分は、ホットハッチのクラストップに並ぶことは難しい。走り始めるとすぐに、気になるところが出てくる。

しかしスイフト・スポーツを5分も運転すれば、楽しく親しみやすいクルマだと考えが変わる。それは、初対面のときも同様だった。ダブリン空港からAUTOCARの事務所まで、ウェールズに広がる道を遠回りした。必要以上に長い時間の運転になった。

若々しく活発なホットハッチ

気がつくと、スイフト・スポーツは家のように落ち着ける空間になっていた。顔は笑顔になっていた。このクルマの魅力の1つは、シンプルさにある。

流行りのドライビング・モードもない。サスペンションやエンジン、ステアリングの設定を時間をかけて色々試す必要もない。

スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)
スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)

スイフト・スポーツは、いい意味で若々しい。活発で、運転が楽しめるホットハッチの特長に良くあっている。加えて、不足ない運動性能も備えている。

ターボで加給される1.4Lの4気筒は、従来の自然吸気エンジンほど、明確な性格を持っているわけではない。そのかわり、郊外の道をハイペースで運転することに喜びを与える、パワーとトルクを秘めている。

一部の、より硬派なホットハッチと違って、スイフト・スポーツは日常的な乗りやすさと、郊外の道での楽しさとのバランスが良い。特にサスペンション。

乗り心地は、継ぎ接ぎだらけの市街地でも過度な不快さを感じさせず、それでいてカーブの続く道では満足感を味わえる。小さなボディサイズと、ステアリングホイールの設定も、無駄のない操縦性を生んでいる。

ドライバーだけでなく、多くの第三者も笑顔にしてくれる。その理由は、カナリー・イエロー(チャンピオン・イエロー)のボディ色にもあった。

正直にいって、勇気を絞り出しても、自分では選ばない色ではある。しかし最終的にはすっかり好きになった。クルマの性格にもピッタリ。混雑した駐車場では見つけやすい。

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