【若々しく活発なホットハッチ】スズキ・スイフト・スポーツ(最終回) 長期テスト
公開 : 2020.08.01 08:50
不満も少なくないが、運転の楽しさで勝る
もちろん、スズキ・スイフト・スポーツは完璧ではない。不満は少なくはない。
高速道路の速度域になると、乗り心地と車内のノイズは不快なほど悪くなる。小さな燃料タンクは、480kmごとの給油が必要。燃料計と航続距離の表示は当てにならない。
センターコンソールを覆うプラスティック製のカバーは薄いし、バックカメラはライバルモデルより汚れやすい。インフォテインメント・システムのタッチモニターとシステムは、許容範囲だが、一部のライバルの水準には届いていない。
タイヤの空気圧センサーのエラーにも、短期間だが悩まされた。季節の変わり目の、急激な気温の変化が影響しているようだ。細かいことではあるが、ライバルと並べて比較していくと、数は増えてしまう。
英国での価格は、1万7999ポンド(241万円)。フォルクスワーゲンUp! GTIより高く、エントリーグレードのポロGTIや、クラスリーダーのフォード・フィエスタSTに近い。
ただし、スズキ・スイフト・スポーツは電卓をはじいて選ぶタイプのクルマではない。自然と引き込まれるタイプなのだと思う。ポロGTIがビデオゲームのグランツーリスモなら、スイフト・スポーツはマリオカート、というと誤解があるかもしれないが。
もちろん、バナナの皮は投げられないし、ライバルほどの奥深さや高水準な動的性能はない。そのかわり、シンプルに魅了するようなドライビング体験が得られる。
シリアスなホットハッチとしての性能も、忘れてはいない。原色の黄色いボディも。それ以上にホットハッチらしい、運転の楽しさを一番に据えている。
次に選ぶべきクルマが難しい
長期テストは、今回で最後。果たしてスズキ・スイフト・スポーツより優れた、バランスの良いモデルを選ぶのが難しい。
より洗練され、シリアスな性能を持つポロGTIが良いだろうか。次に選ぶべき長期テストのクルマが、悩ましい。
セカンドオピニオン
スズキ・スイフト・スポーツの魅力には逆らいにくい。例えバランスのよく優れたライバル・モデルと並んだとしても。
正直、インテリアは見劣りするし、英国での価格設定も有利だとはいえない。しかし、ホットハッチとしての楽しさに焦点が当てられている。ライバル以上に、面白さを感じられた。 Tom Morgan(トム・モーガン)
テストデータ
気に入っているトコロ
ハンドリングとコーナリング:満足度の高い一体感。あえてカーブの続く郊外の道を選びたくなってしまう。
トルク感:ターボエンジンは不足ないトルクを生み出してくれる。サウンド面では少々期待はずれだけれど。
黄色いボディ:鮮やかな黄色は、少々派手で気恥ずかしい。しかし、スイフト・スポーツなら好きにしてくれる。
気に入らないトコロ
航続距離の計算:表示される数字はあてにならない。憶測するという、別の楽しさはあったけれど。
長距離走行時の洗練性:高速道路を巡航走行すると、車内は騒々しいし、乗り心地も褒めにくい。
走行距離
テスト開始時積算距離:1120km
テスト終了時積算距離:1万3454km
価格
モデル名:スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)
新車価格:1万7999ポンド(241万円)
現行価格:1万7999ポンド(241万円)
テスト車の価格:1万7999ポンド(241万円)
ディーラー評価額:1万2700ポンド(170万円)
個人評価額:1万1290ポンド(151万円)
市場流通価格:1万1695ポンド(156万円)
オプション装備
なし
燃費&航続距離
カタログ燃費:16.7km/L
タンク容量:37L
平均燃費:15.5km/L
最高燃費:17.0km/L
最低燃費:10.4km/L
航続可能距離:574km
主要諸元
0-100km/h加速:8.1秒
最高速度:209km/h
エンジン:直列4気筒1373ccターボチャージャー
最高出力:140ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/2500-3500rpm
トランスミッション:6速マニュアル
トランク容量:265L
ホイールサイズ:17インチ
タイヤ:195/45R17
乾燥重量:975kg
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:199ポンド(2万6000円/1カ月)
CO2 排出量:125g/km
メンテナンスコスト:なし
燃料コスト:984.8ポンド(13万2000円)
燃料含めたランニングコスト:984.8ポンド(13万2000円)
1マイル当りコスト:0.13ポンド(17円)
減価償却費:6306ポンド(84万5000円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:0.95ポンド(127円)
不具合:なし