【残念、次世代エボ凍結!?】三菱自動車、悲惨な状況 新たなる局面へ 命題スモール・バット・ビューティフルとは?
公開 : 2020.07.29 07:52 更新 : 2020.07.29 17:53
アセアンありきのモデル構成を徹底
新規モデルを考える原点は、当然ながら「どこで、どのようなユーザーに売るか」という出口戦略に置くべきだ。
その点では、「アセアンありき」を徹底する。
アセアン向けの商品は、南米、中近東、インドなどの南アジア、そしてアフリカとの市場共通性がある。
これまでも、そうした体制を敷いてきたことは、筆者自身がタイやフィリピンの現地で三菱自動車関係者に取材する中ではっきりとわかってきたつもりだ。
だが、今回の中期経営計画では、「アセアンありき」をさらに徹底し、結果的に他の地域を「見切る」までに至っている。
つまり、日本市場も見切る。
見切りの原点として、出口戦略であるディーラー網を大幅に再編する。本社直営ディーラーは不採算店舗の閉鎖と統廃合。
また、独立系ディーラーでは、有力ディーラーとのパートナーシップを強化するとし、結果的に全国の三菱ディーラーの店舗は一気に減少する可能性がある。
こうした販売店数が削減は、三菱自動車に限ったことではなく、トヨタをはじめとして飽和状態が長きに渡り続いてきたところであり、コロナ禍をきっかけとして、各メーカー系ディーラーの統廃合はこれから加速する可能性が高い。
販売する場所を絞ることと同時に、売り物も絞ることになる。
スーパーEV「エボ」はどうなる?
売り物に関して、商品戦略では大きく2つの考えを示した。
1つは、環境対応だ。
明確になったのは、2020年度に「エクリプスクロスPHEV」と次期「アウトランダー」を2021年度に市場導入する。ただし、アウトランダーはガソリン車が先行し、三菱の強みであるPHEVはなんと2022年度までズレ込むという。
EVについては、中国政府が政策として掲げる新エネルギー車規制への対応を最優先し、2021年に広州汽車との共同開発として中国市場向けEVを導入。
日本市場向けの軽EVは、日産が公開しているコンセプトモデル「IMk」の量産型を想定するも、導入時期は2023年度以降とかなり慎重な構えだ。
そして、もう1つの商品戦略が「アセアンありき」だ。
2022年度に、ピックアップトラックの「トライトン」。2023年度に、「エクスパンダ―ハイブリッド」、次期「エクスパンダ―」、次期「パジェロスポーツ」、さらに2台の新型SUV導入を目指す。
このように、「アセアンありき」を基盤として、電動車ではルノー日産三菱アライアンスの中で研究開発と購買のコストパフォーマンスを最適化する。
となれば、これまでモーターショーで話題となってきた、次世代「エボ」というイメージのクロスオーバーSUVは事実上、凍結されたとみるべきだろう。
前述の固定費削減では、新規採用抑制と希望退職制度、また報酬制度の見直しが明記されている。
次世代エボなど、新たなる三菱スーパーモデルに夢を抱いてきたエンジニアたちが、これを機に三菱を後にしないことを願いたい。