【ほぼターマック用ラリーカー】アリエル・ノマドRへ試乗 タイプR用2.0L搭載
公開 : 2020.08.01 10:20
凶暴性を感じるほどに速い
ノマドRには乗りにくい。蜘蛛の巣のようなロールケージの隙間から身体を滑り込ませるか、よじ登って上から身体を落とすか。コメディ映画のように。
ステアリングホイールは取り外しが可能だが、カーボンファイバー製のシフトパドルは残る。引くとシフトアップ、押すとシフトダウンだ。
シートの位置を変えるには、6角レンチが必要。調整が終われば、運転姿勢は心地良い。構造部品のすべてが露出するノマドRの一部のように、一体化できる。
イモビライザー・チップを置いてボタンを弾くと、ホンダ製ユニットに火が入り、背中越しにサウンドが響き始める。シフトを引いて1速に入れる。エアコンプレッサーから空気が送られ、ひと吹き音が立つ。
走り始めると、ストレートカットのギアから盛大なメカノイズが放たれる。ドライバーが最もうるさく感じるクルマの1つであることは、間違いない。
ターボで激しく過給されるアトム4は、ノマドより軽量で、気が遠くなるほどに速い。それでも、このノマドRもスーパーチャージャーで過給されているから、凶暴性を感じるほど速い。
アリエルによれば、0-100km/h加速をわずか2.9秒でこなすらしい。間違いなさそうだ。変速も速い。レースカーやラリーカーを彷彿とさせる盛大なエンジンノイズに、圧倒される。
フロントガラスは付いているが、ヘルメットと耳栓は着用した方が賢明だろう。メカノイズや風切り音、顔面の露出などが抑えられ、ノマドRの高い動的性能に集中できる。ノマドRをより楽しめる。
ヘルメットと耳栓がいるドライバーズカー
ステアリングはロックトゥロック1.7回転とクイック。そのかわり重いが、うんざりするようなキックバックはない。
減衰力の設定は素晴らしく、かつ姿勢制御はタイト。ボディをフラットに保ち、完璧と呼べるほどにシャープ。アクセルやブレーキ操作に対する反応はリニアだ。
シフトレバーの操作も、とても楽しい。レバーを前後に小刻みに倒す作業が、運転の充足度を高めてくれる。バイクのギアを変える動作に似ている。
素晴らしいドライバーズカーだと思う。実用性は気にしないでほしい。もっともノマドRに乗っている限り、そんなことは気にならない。
ノマドRを運転するなら、オートバイ用のヘルメットと耳栓も、一緒に用意した方が良いだろう。タイヤが4本、という違い程度しかないのだから。
アリエル・ノマドR(英国仕様)のスペック
価格:7万7400ポンド(1037万円)
全長:3215mm
全幅:1850mm
全高:1425mm
最高速度:194km/h(トランスミッションによっては218km/h)
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:670kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:339ps/7600rpm
最大トルク:33.5kg-m/5500rpm
ギアボックス:6速シーケンシャル・マニュアル