【BMWとポルシェを超える評価】スープラ vs BMW M2 vs 718ケイマン比較試乗 前編

公開 : 2020.08.08 11:50  更新 : 2021.03.05 18:45

価格上昇でドイツのプレミアム・ブランドと対峙することになった、トヨタ・スープラ。比較するのは、定評あるBMW M2コンペティションとポルシェ718ケイマンです。スープラは、両車を抑えることが可能なのでしょうか。

想像以上に濃いBMW Z4との双子関係

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
トヨタから、大物クーペが登場した。7年にも及ぶ開発期間の中で、何度もスパイショットを目撃してきた。慎重に偽装が施されたプロトタイプの試乗を経て、英国でも遂に発売が始まった。

想像の中から、現実の世界に姿を表したトヨタ・スープラ。準備運動も不足なし、というところだろう。

トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)
トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)

トヨタからの、待ちに待ったニューモデル。短い時間の試乗でも、最大のライバルと伍するのに、充分なポテンシャルを垣間見ることはできている。

新生スープラは、気になる部分を内包する。多くの人が考えていた以上に、BMW Z4との双子関係は強いものだったのだ。バイエルンで作られる340psの直列6気筒ターボエンジンとZF社製の8速AT、電子制御リミテッド・スリップデフ、電子システムなどはそのまま継承している。

一方でスープラは、トレッドが広くホイールベースが短い。狙ったアクロバティックな走りを叶えるべく、最適化されている。骨格部分は、アルミニウムとスチール材を組み合わせた日本製だ。

スープラはどれほどシリアスなスポーツカーなのだろうか。確かめる方法は、ただ1つ。AUTOCARが走り込んでいる英国・南ウェールズ州の道で、強力なペアと直接対決させるしかない。

おそらく、欧州でトヨタ・スープラの真正面にいるモデルは、ポルシェ718ケイマンになるはず。数あるグレードから今回選んだのは、718ケイマン「T」。最も純粋に、ドライバーへフォーカスされたケイマンだ。

ベンチマークはポルシェ・ケイマン

車高は20mm低く、トルクベクタリング機能の付くデフを備え、わずかな軽量化も受けている。ドアハンドルは、軽量なクロスのベルト式。

ミドシップ・レイアウトで、スープラのフロントエンジン・リアドライブとは異なる。しかしトヨタのエンジニア、多田哲哉はケイマンがベンチマークだったと認めている。

ポルシェ718ケイマンT(英国仕様)
ポルシェ718ケイマンT(英国仕様)

718ケイマンTが搭載するのは2.0Lのフラット4。最高出力300psと、今回の3台では一番馬力がない。そのぶん、車重は1350kgと一番軽い。トランスミッションは6速MTで、7速PDKはオプション。スープラではMTが選べない。

もう1台のBMW M2コンペティションは、クーペというよりコンパクト・スポーツサルーンに近い。3台では最もパワフルで、フロントエンジン・リアドライブ。思想的にも血縁関係でも、スープラに近いモデルといえる。

M2コンペティションが搭載するのは、409psの直列6気筒ターボ。ポルシェと同様にMTも選択できる。しかし今回は、クルマのバリエーションに幅をもたせるため、7速デュアルクラッチATを選んだ。

見た目も異なる3台だが、ドライバーを刺激し、アドレナリンが湧き出るような最高の運転体験を提供する、という目的は同じ。英国での価格も、5万ポンド(675万円)を超える辺りで近似している。早速比較といこう。

スタイリングは、個人の主観が強い部分。でも、この3台で最も目を引くのはスープラだ。単にニューモデルだから、というだけではない。筋肉質な曲面と、それを引き立てるように絞られた大胆なラインが視線を集める。

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