【ほぼ、世界最高のFRマシン】BMW M2 CSへ試乗 F87型最後を飾る限定モデル 前編

公開 : 2020.08.06 10:20

450psのエンジンはM4由来のS55型

タイヤはオプションのサーキット走行会仕様で、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2を履いていた。標準ではパイロット・スーパースポーツだ。マルチプレート・クラッチが組まれた電子制御デフも、専用設定となっている。

ゴールドが眩しいキャリパーと対となる、カーボンセラミック・ブレーキも装備。M2コンペティションでは選べないオプションで、価格は6250ポンド(84万円)する。

BMW M2 CS(英国仕様)
BMW M2 CS(英国仕様)

鋳鉄製のMスポーツのブレーキと比較して、22kgの軽量化につながる。そして、サーキットに相応しい見た目も得られる。

エンジンは、M2コンペティションにも搭載されていた、M4由来のS55型。直列6気筒のツインターボは排気系が再設計され、最高出力とトルクバンドを拡張している。

光沢が美しい1.5kgのカーボン製ストラットブレースに守られる、鍛えられた心臓は450psと56.1kg-mを生み出す。始動時は控えめだが、回転数の上昇とともにモータースポーツ感満点のサウンドを響かせる。パワーとレスポンスに長け、エキゾチックだ。

低速域で走らせていても、強いオーラを放つ。デュアルクラッチATをドライブに入れる。クリープはない。アクセルペダルを踏み込むと、ふわりと風に乗るようにM2 CSは進み始める。軽さを思わせる、意外な感覚だった。

シャシーは路面の細かな凹凸を逐一拾うが、シリアスなドライバーズカーとして、マナーは不快ではない。第一印象は、かなり良い。でも完璧ではないとも思う。

1t当たり300psの高性能を体感する

BMWでは一般的だが、アルカンターラが巻かれたステアリングホイールは、小さい直径も太いグリップも、少々やり過ぎ。

インテリアは、見慣れた雰囲気。ドアハンドルはカーボンファイバー製。中央のアームレストは備わらないが、軽量化にはつながらなかったようだ。M2 CSの金額を考えると、インテリアは特別感で弱い印象を受ける。

BMW M2 CS(英国仕様)
BMW M2 CS(英国仕様)

一部の内装トリムやエンブレムを除いて、基本的にはM2コンペティションと共通している。といっても、悪いだけではない。

調整幅の大きいセミバケット・タイプのシートは、快適でサポート性も良好。ドライビングポジションも、フロントエンジンでコンパクトなボディを考えると、期待以上に優れている。

カーボン製トランスミッション・トンネルのパネルは、光沢が美しい。年齢層を問わず、惹かれるディテールだろう。

変速して速度を上げていくと、1t当たり300psというM2 CSの高性能ぶりを、隅々から感じ取れるようになる。デュアルクラッチATは極めて滑らかに動作し、ハーフスロットル程度での追い越しも、またたく間に完了する。

56.1kg-mという最大トルクは、2500rpm辺りから解き放たれる。例えトルクが数kg-m低い回転域でも、充分にたくましい。

ただし、このフィーリングはM2コンペティションと遠くない。最高出力差は40psあるが、最大トルクはほとんど変わらないためだろう。

この続きは後編にて。

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