【オリジナルペイントのHRG】自らボディを作った赤いHRG 1500を復元 後編
公開 : 2020.08.15 16:20 更新 : 2020.12.08 08:35
変化についていけなかったHRG
「低速域では扱いにくいクルマです。スピードを上げて、他のクルマを引き離す方が得意ですね。エンジンはショートストロークで、とても良く回ります。一部のオーナーは、120ps以上引き出しているようです」
1955年製のクルマとしては、デザインは古びている。MGAの時代だが、その前のMG TFのように見える。「第二次大戦前は競争力もあったと思いますが、1955年では違っていました」
「時代遅れだったといえます。その頃は、すべてが順調に思えたようですが、違っていたんですね」
プレートに記された電話番号と同じように、時代は変わっていたのだった。
番外編:ランボルギーニ風ジェンセン・ボディ
アランEJジェンナーの経歴の中に出てきた不思議なクルマに、ジェンセンをベースとしたエスペランドがある。オール・アルミニウム製のボディは、1969年にボブ・カールによってデザインされた。
ランボルギーニ・エスパーダに憧れるジェンセンオーナーのためのボディで、一部のファンの間では伝説的な存在になっている。
「あのジェンセン用ボディのおかげで、家族には大きな亀裂が入りました。制作に6か月もかかりましたから」 アランが笑いながら振り返る。
オリジナルボディより軽量に仕上がった
「最初は1:12サイズのスケールモデルで、デザイン・ドローイングはナシ。フルスケールのモデルを作ったのも、ボブ・カールです。毎晩自宅で作業し、フルサイズの図面を引きました」
「彼はレーシングカーのノマドを作った経験もあり、エルヴァ社で働いてもいました。とても賢い人物だったと思います」
「とても勉強になったボディでした。カーブした窓を採用したデザインを手掛けたのは、その時が初めて。ガラスを指定されたカーブに曲げる必要がありました」。最終的には、ヴォグゾール・ヴィクターのフロントガラスが用いられている。
「自慢したがる人物ではありませんでしたが、オーナーのピーターアダムスは160km/hを過ぎても加速できそうだ、と満足げでした。わたしも近所を走らせてみましたが、確かにそれくらいのスピードは出せましたね」
「スチール製のフレームに、アルミニウム製のボディパネルが組まれています。グラスファイバー製のオリジナルのジェンセインのボディより軽量に仕上がりました」
「その後、オーナーが変わると改造されました。クロムメッキのウインドウフレームは、新しく見えるように黒く塗り直されていて、酷いものでしたね」
1980年のAUTOCARによると、ボブ・カールがデザインし、ヘースティングズ・モーターシート・メタルワークス社がボディを手掛けたクルマを、ジェンセン・モーターズはエスペランドとして登録している。ジェンセンのお墨付きを得たということだ。