【待ち焦がれたグランドツアラー】新型フェラーリ・ローマへ試乗 620psの2+2 後編
公開 : 2020.08.09 10:20 更新 : 2021.08.05 08:08
軽快でリニア、懐が深いハンドリング
試乗で走り込んだ、路面の荒れたタイトコーナーが続くワインディングでも、印象は良かった。ヘアピンカーブへ見事に食らいついていく。カブリオレのポルトフィーノにはなかった仕草で。
上級スーパーカー並みの、息を呑むほどの勢いはないものの、中回転域では極めて活発。湧き出すトルクはたくましく、高回転域での柔軟性にも優れている。このエンジンを搭載してきた最近のフェラーリを、際立たせてきた特徴でもある。
加速時もコーナーへの進入時も、スポーティなグランドツアラーとして、ローマは軽快でリニア。放つサウンドも、印象を際立たせる。
甘美で圧倒される音色ではない。しかし、フラットプレーン・ブランクを備えるV8ターボに期待するとおりに音楽的。金属質でどこか切なく、本物らしい個性的な響きだ。
マネッティーノ・スイッチを回せば、5種類のドライブ・モードが選べる。電子制御の介入を変化させ、ハンドリング・バランスや、アクセル操作でのリアタイヤによる姿勢制御の自由度が選べる。488やF8トリブートのように。
ミドシップ・フェラーリ並みに、ローマも懐が深く、積極的な操縦が可能。グリップの限界領域での挙動は、まるでフロントエンジンの458や488のようでもある。
フェラーリ・ローマは、固定式ルーフを備えたポルトフィーノではない。また、マセラティを目指したフェラーリでもない。ローマは、間違いなくそれ以上の完成度を備えた、新しいフェラーリだ。
長い間われわれが待ち望んでいたクルマ
V8ツインターボ・エンジンを搭載したローマは、容姿の美しさでも動的性能でも、新次元と呼べる領域に達している。ハイエンドのポルシェ911やアウディ、アストン マーティン、メルセデスAMGに大きな脅威を与える、真の跳ね馬が登場した。
日常的に乗りやすく、角が取れ、1年を通じて楽しめる。長距離旅行でもワインディングでも、場面を選ばず運転したいと思える、スマートなフェラーリ製グランドツアラーだ。久々の復活といっても良いだろう。
マラネロが生み出す、素晴らしいフロントエンジンのロードカー。フェラーリ・ローマは、長い間われわれが待ち焦がれていたクルマ、そのものだといえる。
フェラーリ・ローマ(欧州仕様)のスペック
価格:17万984ポンド(2308万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1301mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:1570kg
パワートレイン:V型8気筒3855ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス:8速ツインクラッチ・オートマティック