【詳細データテスト】ポルシェ・タイカン 正真正銘ポルシェのスポーツカーでありドライバーズカー 重量を感じさせない走りと快適性 デジタル偏重の内装は使い勝手に劣る
公開 : 2020.08.08 11:50 更新 : 2021.02.10 17:27
結論 ★★★★★★★★★★
1953年11月6日以来、オートカーのロードテストには数多のポルシェが登場してきたが、今回のタイカンは記念すべき100台目となる。また、われわれがこうした種類のEVをテストするようになってまだ日は浅いものの、はじめて満点を取ったモデルとしても名を残すこととなった。
とはいえ、これまでにここまで巧みにバッテリーを積み、その重量を気づかせないEVはテストしたことがない。ポルシェのスポーツカーとしてみれば、タイカンはきわめてワイドで、絶対的に重い。それでも、そのパフォーマンスも、乗り心地も、ハンドリングもみごと。限界を露呈することなく、乗るものを魅了する。
メーカー的には「電動モビリティ時代における真のポルシェ」だと請け合うが、このクルマの能力は確かにその主張を裏付けるものだ。サーキット走行車や大陸横断マシン、またGT部門のハードコアスペシャルを意図したものではない。
そうであるならば、重いことや音を楽しめないこと、運転に熱中できなかったり一充電あたりの航続距離が長くないことは、非難する材料になりえない。すべてが狙いどおりであり、さらにそれ以上のものも提供してくれるクルマだ。
ここまで独特なクルマをテストする場合、われわれはそのメリットに基づいてジャッジしなければならない。そして、これをEVとして、14万ポンド(約1960万円)級のスポーツカーとして、もしくは単にポルシェとして、いずれの点からジャッジしても、タイカンはとにかくほかのクルマにはできないことを成し遂げたといえる。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
航続距離への影響を考えれば、ポルシェがなぜもっとグリップのいいタイヤを履かせなかったのかはよくわかる。しかし、このシャシーには、遅かれ早かれハイグリップタイヤ仕様が出るだろうことを確信させるものがある。そうなれば、この2.3tのEVは、スーパーカー級のラップタイムをマークすることだろう。まったくもって驚きだ。
サイモン・デイヴィス
なんと驚異的なクルマだろう。このタイカンは、みごとなドライバーズカーだ。EVの割には、といった前置きを抜きにしても、である。予選を戦うようなレベルからは脱却した、これは間違いなくゲームチェンジャーだ。
オプション追加のアドバイス
できるだけ頻繁に乗りたいというなら、ターボSよりわずかながらも航続距離の長いターボがおすすめ。2315ポンド(約32.4万円)のPDCCスポーツと、1650ポンド(約23.1万円)の四輪操舵、294ポンド(約4.1万円)の150kW直流チャージャーは付けておきたい。
改善してほしいポイント
・現実的な航続距離を、400km近いところまで改善してほしい。
・150kW直流車載チャージャーを標準装備してほしい。294ポンド(約4.1万円)のオプションというのは考えものだ。
・サーキットテスト中のみとはいえ、メーター周りから軋み音がするのはいただけない。組み付けのクオリティを、ライバルとなる高級車並みに引き揚げてもらいたい。