【Aクラスより小回りが効く】メルセデス・ベンツSクラス・プロトタイプへ試乗
公開 : 2020.08.12 10:20
ボディの60%はアルミニウム製
7代目Sクラスがベースとするのは、2世代目のMRAプラットフォーム。ホイールベースは3種類が設定される。また現行と同様に、メルセデス・ベンツのほか、メルセデスAMGとマイバッハ、プルマン仕様も登場予定だ。
一方で、Sクラスのクーペとカブリオレのモデルチェンジは見送られた。メルセデス・ベンツを率いるオラ・ケレニウスが推し進める、コストカット政策に勝てなかったのだろう。
標準ボディのSクラスは、ホイールベースが71mm長くなり、3106mmへ成長。ロングホイールベース版では、51mm伸び、3216mmとなった。より快適で広々とした車内を実現している。
純EV版のEQSの開発も担当するヴァイシンガーによれば、新しいSクラスのボディは、約60%がアルミニウムで構成されるという。先代より、かなり軽量に仕上がるようだ。
ドアハンドルがボディ表面と一体になるなど、空力性能も磨き込まれ、Cd値は0.22とクラスをリードするほど良い。優れた燃費にもつながる。
「伝統的に、世界最良のクルマを生み出すには、ディテールまで詰める必要があると説明されてきました。(Sクラスでは)あらゆる小さな部分にまで、デザインの向上が図られています」
Sクラスに搭載されるエンジンは、まだ発表されていない。しかし3.0Lの直列6気筒ターボと、電圧48Vのマイルドハイブリッドに4.0LのV型8気筒ツインターボが採用されることとは、ほぼ間違いない。
インテリアの新しい技術水準
マイバッハ・ブランドには、6.0LのV型12気筒ツインターボが継続搭載されるという。また英国では、2.9Lの直列6気筒ディーゼルも用意される。
プラグイン・ハイブリッドとしては、S580eが登場する。これには3.0L直6ターボ・ガソリンと、トランスミッションに組み込まれる電気モーターを結合。31.2Whのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、最大99kmの距離を電気モーターだけで走行できる見込み。
ボディのデザインは、現行モデルの進化版といった印象。より大胆なフロントグリルと、トランクリッドにまで伸びる水平基調のテールライトが特徴だろう。
車内はスイッチ類を大幅に減らし、主要な機能はモニターに集約され、デザインは一新している。メーター用のモニターと、センターコンソールには縦型12.8インチのモニターが標準装備。リアシートには最大3面のモニターを設定できる。
リアシートでの試乗だったとはいえ、メルセデス・ベンツがインテリアの新しい技術水準を築いたことは明らかだった。メーター用のモニターは、特殊なメガネを掛けずに、立体的に見える3D体験を実現している。
さらに拡張現実を採用したヘッドアップディスプレイも特徴。これはドライバーの目線10mほど先に、実際の視界に合わせたカタチで必要な情報が投影されるものとなる。
筆者自身の手で、ステアリングホイールを握れる日が楽しみだ。