【暮らしに見事に溶け込むSUV】トヨタ・ランドクルーザー(最終回) 長期テスト
公開 : 2020.08.16 11:50 更新 : 2021.01.28 18:17
素晴らしい長距離クルーザー
ランドクルーザーはとてもゆったりと、落ち着いた動きをする。乗り心地は柔らかく、コーナーでは大きくロールする。6速MTを備え、高速域での安定性も良好だが、田舎の道をハイスピードで飛ばすクルマではない。
ロードノイズは小さく、シートは快適。素晴らしい長距離クルーザーだと思う。
高速道路では、ゆっくり走れば13.0km/L台後半の燃費も狙えるが、現実的な走行では11.7km/L程度。普通に運転していても、900kmほどの距離を1度の満タンで走りきれる。
装備はシンプル。豪華なエンターテインメント・システムはなく、運転支援システムも付いていない。旧式なクルーズコントロールとマニュアルのエアコン、ブルートゥース接続機能だけだったが、筆者の感覚では不足はなかった。むしろ、必要充分。
オフロード性能は、もちろん素晴らしい。ビデオ撮影時でも、見事な悪路の走破性能を披露してくれた。オフロードの比較試乗でも、ランドクルーザーが勝利している。
シャシーは本気のセパレート式。深いデパーチャー・アングル(リア・オーバーハング部)とブレークオーバー・アング(ホイールベース部)が与えられている。
ローレンジ付きのトランスミッションに、ロッキング・センターデフを装備する。2.8Lの4気筒ディーゼルは、1400rpmという低回転域から42.7kg-mのトルクを生み出す。
メルセデス・ベンツGクラスやジープ・ラングラーの方が、より複雑な四輪駆動システムを備え、難度の高い地形をより簡単に走破できる。だが、どちらもランドクルーザーよりかなり高価だ。
部品の耐久性にも優れ、故障知らず
故障知らずで、ほぼ完璧といえるクルマだった。1万6000km毎に求められる定期点検の内容も、評価できる。
英国の場合、トヨタはランドクルーザーに定額制のメンテナンス・サービスを提供している。1万6000km時は250ポンド(3万3000円)。3万2000km時は395ポンド(5万3000円)だ。
前回レポートしたとおり、この金額はアドブルー液の補量に関係ない。そのかわり定額制だから、英国の中なら、好きなトヨタディーラーへクルマを持ち込んで構わない。
6万km以上を走ったランドクルーザーはヘタリの兆候もなく、オイル類以外、特に部品交換も必要なし。ブレーキパッドは厚みがまだあり、タイヤの溝もリアは5mmの深さを残していた。フロントタイヤとワイパーのゴムは、そろそろ交換時期かもしれない。
より魅力的なライバルモデルは存在すると思う。しかし極めて堅牢で信頼できる、多機能でシンプルな四輪駆動モデルは、ランドクルーザーが筆頭。お別れが残念でならない。