【すべてが先代以上】最新8代目 フォルクスワーゲン・ゴルフGTIへ試乗 後編
公開 : 2020.08.14 10:20
いよいよホットハッチの雄、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIが公道へ降り立ちます。専用のエンジンとシャシー・セッティングは、8代目ゴルフの魅力をどこまで高めているのでしょうか。英国編集部がドイツで評価しました。
日常的に乗りやすく、とてつもなく楽しい
フォルクスワーゲンは、ゴルフGTIが極端なモデルにならないように、代々注意してきた。これまで、多くの人にとって運転しやすいということも、魅力の1つになってきた。
新しいGTIも、その性格は受け継いでいる。動的性能は、親しみやすい味付けにしてある。市街地では日常的に乗りやすく、郊外の空いた道に出れば、とてつもなく楽しい。
フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式となるサスペンション構成は7代目からのキャリーオーバー。標準の8代目ゴルフと比較して車高は15mm低く、エンジンと同様、細かな進化が与えられている。
アルミニウム製のサブフレームは、スチール製だった先代より3kg軽量化させつつ、剛性を向上。リア側へ掛かる負荷割合も高められ、スプリングレートはフロントで5%、リアで15%強化されている。
タイヤは標準のGTIで17インチのホイールに、幅225サイズのブリヂストン・ポテンザを履く。オプションで18インチか19インチが選べるが、そちらは幅が235へ広くなる。
8代目ゴルフGTIが採用する、フォルクスワーゲン製の7速デュアルクラッチATには、気になる部分もあった。都市部などでの低速走行時には、変速で違和感を生じる場面がある。高回転域やシフトダウン時には、不必要に長いタメもあるようだ。
筆者の意見では、標準の6速マニュアルを選びたいところ。アイドリングのオートストップ機能の動作は、大幅に改善されている。
スポーティでありながら優れた洗練性
何より、ゴルフGTIのシャシーバランスやスタビリティに大きく貢献しているのが、ビークル・ダイナミクス・マネージャー(VDM)・システム。アダプティブ・ダンパーはオプションだが、ステアリングやスロットル、トランスミッションなどの操作を、気づかれないように常に監視しているのだ。
過去どの世代のゴルフGTIと比較しても、間違いなくレスポンスに優れ、ドライビング体験はスポーティ。さらに決定的なのが、穏やかな標準の8代目ゴルフと変わらない、洗練度と熟成度を備えている点。
ドライブ・モードには、エコとコンフォート、スポーツ、インディビジュアルを用意。従来以上に幅のある運転特性を体験できる。
アダプティブ・ダンパーを装備すれば、VDMシステムは15段階もの細かさで、減衰特性を変化。スポーツ・モードでの姿勢制御はタイトになり、コンフォート・モードでは繊細さを高めている。
電動パワーステアリングは、重み付けが素晴らしく感触も豊か。前輪へ掛かる245psというパワーを考えると、驚くほどに余計なフィーリングは排除されている。
一部のホットハッチのような、間髪入れないレスポンスほどではないが、正確性は非常に高い。加えてフィードバックも豊かで、タイヤとのコミュニケーションも取りやすく、充足感は素晴らしい。
コーナリング時の挙動は、常にニュートラル。アンダーステアは抑え込まれ、不安感を抱くこともない。