【大手メーカーは不利?】コロナ後は新興企業とEVにチャンス 経営者が語る
公開 : 2020.08.14 11:37
新型コロナウイルスの流行により自動車業界は大きく変わりつつあります。スタートアップ企業の経営者たちは、この苦境をチャンスと捉えて事業拡大を狙っています。古参の大手メーカーにはないメリットを探ります。
EVの需要が伸び続ける理由
パンデミックの影響で自動車市場が減速しても、排出ガスの削減やパワートレインの電動化を推進する動きが妨げられることはないだろう。
そして、その変化は機動力の高いスタートアップ企業にとって有益となる可能性がある。
アメリカのEV新興企業ルーシッド・モータースのCEO兼CTOであるピーター・ローリンソンは、そう考えている。
以前にテスラ・モデルSの技術開発を率いた英国人エンジニアであるローリンソンは、フィナンシャル・タイムズ紙「Future of the Car」のバーチャル会議で、世界的に実施されているロックダウンの結果として環境にメリットがあることは「心強い」と述べている。
「青空が広がり、水が澄み渡り、騒音公害が大幅に減少しました」
「しかし、多くの人が環境への配慮を理由にEVを購入しているわけではありません。電気自動車が本質的に優れているという認識があり、より良い体験ができるという理由で購入しているのです」
イギリスのEVスタートアップ企業、アライバル社のアビナッシュ・ルグーブル社長もこの意見に同意している。
彼はパンデミックの間に「一般的には多くの資本支出がシフトされている」ものの、商業および公共交通機関の車両を電動化する需要はまだあると述べた。
「新型コロナウイルスにより、迅速に(そしてクリーンに)輸送する必要性が高まっています」
「特にバンは顕著です。例えば、米カリフォルニア州では、新しい商用車はすべてEVにすることを義務付けています」
「これに先んじて、商用車を保有する法人・個人がこぞって電動化を進めているのを目の当たりにしています。感染拡大の第2波が来ると、配送は私たちの経営にとって重要な部分になるでしょう」
アライバルは今年初め、物流会社UPSからEV配送バンを1万台受注した。UPSがさらに1万台のバンを注文する可能性もある。
一方、ブリティッシュ・ガス社は最近、ヴォグゾール社とEVバン1000台の契約を結んだ。社用車としての契約は英国最大規模だ。
ブリティッシュ・ガスの親会社であるセントリカのモビリティ・ホーム・エネルギー部門の責任者であるカール・ベイリス(元日産のEV製品責任者)は、バーチャル会議で次のように述べた。
「気候委員会に対し、当社の既存車両のうち約1万2000台をEVに転換することを推進すると約束しました」
ベイリスは、今回のパンデミックにより、エネルギーシステムがEV販売の急増に対応できる能力を持っていることを証明したと考えている。
「私たちは、こうした状況下(自宅にいる人が増加)でもグリッドのバランスをとる能力を持っていることを証明してきました」