【詳細データテスト】メルセデス・ベンツAクラス ドライブトレインの制御は未熟 運動性能は快適性の犠牲に 静粛性は改善の余地あり

公開 : 2020.08.15 11:50

メルセデスEQパワー普及の牽引役と期待される、PHEV版Aクラスをテスト。経済性や乗り心地にはかなり満足できるものの、走りにスポーティさはなく、路面やエンジンからのノイズは大きめ。プレミアム度は期待できません。

はじめに

たしかに、しかし粛々と、メルセデス・ベンツはライバルたちに対する大きなアドバンテージを確立してきた。

これは、現在のメルセデスのカタログモデルに多く設定されているPHEV、すなわちプラグインハイブリッドによるものにほかならない。BMWアウディではPHEVのラインナップが4車種にとどまっているのに対し、その倍に達している。しかも、ディーゼルとガソリンの両方で用意しているのはメルセデスだけだ。

テスト車:メルセデス・ベンツA 250e AMGライン・プレミアム
テスト車:メルセデス・ベンツA 250e AMGライン・プレミアム    OLGUN KORDAL

メルセデスは、これらのPHEVファミリーをEQパワーと呼ぶ。今回のロードテストで取り上げるのは、その最新作にして、おそらくは最重要モデルだ。

このハッチバックのA 250eは、兄弟分のセダンモデルやコンパクトMPVのB 250eとあわせて、電動化メルセデスへの敷居を下げることが期待される。しかも、BMWやアウディには直接的な競合モデルがない。

ハッチバックのPHEVとしても、マーケットが重なるのはフォルクスワーゲンのゴルフVIIに設定されるGTEくらい。プレミアムブランドとしては今のところ市場独占状態で、シュトゥットガルトの経営陣は成功を確信しているに違いない。

こうして同郷の競争相手には先行したものの、だからといって無条件にクラストップを奪取できるとは限らない。プラグインによる経済性や税制優遇は大きな魅力だが、それだけではユーザーの期待を満足させることはないのだ。

このプラグイン版Aクラスが成功するためには、シルキーなまでの洗練性や贅沢にも思える快適性、そして一級のメルセデスが示してきた直感的なドライバビリティといったものが必要となる。われわれも、容赦無く評価していきたいところだ。

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