【2億4300万円の限定12台】ベントレー・バカラル・コンセプトへ試乗

公開 : 2020.08.19 10:20

液体のようにも見える妖艶なボディ

彼女によれば、バルセロナにあるデザインスタジオの屋外で、通常は塗装の仕上がりを最終確認するという。陽気な気候でも、しっかり機能することを確かめるのだろう。ベントレーの本社がある、英国のクルーは少し薄暗いから。

モーターショー用に仕上げられたイエローフレイムのボディは、霧雨の中でも妖艶。メタリックエフェクトを発揮する、籾殻から作られた灰が含まれているのだという。近づいてみると、液体のようにも見える。

ベントレー・バカラル・コンセプト
ベントレー・バカラル・コンセプト

このバカラルには屋根がないから、雨には参った。素晴らしいキルティング加工が施されたシートは、片側だけで14万8000ものステッチが入っている。ウール製のクロスも、雨に濡れてしまっている。

ダッシュボードのウッドは、5000年前の泥炭層から掘り出された木材らしい。水には慣れているかもしれない。

モルダーによれば、すべての内装素材は、フォルクスワーゲン・グループの厳しい耐候性と耐久性の基準に適合しているという。「シャワーに絶えられないクルマを、お客様には売れません」

コンチネンタルGTCでは、極めてソフトなアニリン・レザーを用意しない理由でもある。

しかしバカラルなら、カラーやトリムなど、かなり自由に素材を選べる。モルダーは、オンラインで選定されるバカラルの仕様書に目を通している。「一部のオーナーは、われわれが想定した以上に、多彩な選択を最終的に希望されています」

W12気筒エンジンを搭載する高速クルーザー

耐久性で劣る素材への変更は可能だが、変質の可能性へ同意する書面にサインが求められる。安全性や基本性能に影響を与える変更はできない。

オーナーの中には、ウッドリムのステアリングを希望する人もいるという。だがステアリング・ボスに搭載される電子機器の膨大な量を考えると、エンジニアは実現に苦労しているとも話す。

ベントレー・バカラル・コンセプト
ベントレー・バカラル・コンセプト

グッドウッドでの試乗時間は限られていた。スピードは上げられなくても、ベントレー・バカラルの壮大な魅力に強く惹かれずにはいられない。

0-97km/h加速3.5秒、最高速度321km/hという数字は一旦忘れておこう。12名のオーナーのうち、その性能を実際に何度も試すのは、何人いるのだろう。最高速の半分も超えれば、車内はかなりの風が吹き荒れそうだ。

たくましい中回転域を叶える、6.0LのW12気筒エンジンを搭載するバカラル。高速クルーザーとして走らせた方が、幸福度は高い。もちろん、周囲より速いペースで。

659psを発揮するエンジンは、ハードなドライブも造作ない。デュアルクラッチATは、この市場では最も変速がクイックで滑らか。

コンチネンタルGTCと基礎を共有するから、シャープな動的性能を実現するテクノロジーも搭載される。エアサスペンションや、電圧48Vで稼働するアクティブ・アンチロールシステムも。

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