【e:HEVの走りは?】新型フィット ホーム試乗 エンジン直動/電動、2モーター・ハイブリッドの持ち味を評価

公開 : 2020.08.14 16:55  更新 : 2021.12.28 00:00

見晴らしのいい視界が話題の「新型ホンダ・フィット」を、じっくり試乗。「e:HEV」を名乗る2モーター・ハイブリッドは、どんな走りをするのか解説します。ガソリン仕様に比べて35万円高くても、HVを選びたくなるのでしょうか。

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Toshikazu Moriyama(森山俊一)

ロゴの後を受けて開発された「フィット」は、それまでタウン&パーソナル用途向けだったスモール2BOXを、ファミリー用途に対応できる即ちファーストカーの資質を備えたモデルとして開発された。

スモール2BOXの革新といっても過言ではない。

4代目フィットは全長×全幅×全高が、3995×1695×1515mm。従来型とほとんど変わらぬボディサイズを維持した。
4代目フィットは全長×全幅×全高が、3995×1695×1515mm。従来型とほとんど変わらぬボディサイズを維持した。    森山俊一

ファミリー用途に適応できる実用性をもたらしたのは、ロングキャビン設計とセンタータンク・レイアウトであり、これは以後のフィットに採用されるだけでなく、ホンダのコンパクトカーの基本にもなっている。

3代目となる先代ではスポーティ&プレミアムのキャラを打ち出したが、新型では再びファミリー路線の強いモデルとなった。

と言ってもスペースもキャビン機能で大きく変わった訳ではない。ホイールベースも含めて車体寸法は先代を踏襲し、室内長も同等である。

変わったのは雰囲気だ。外観の変化が雄弁だが、室内の雰囲気も違っている。

広い視界 後席の見晴らしも

一見するとフロントウインドウ周りは一般的な構造のように思える。

だが、フロントピラーはドア前に設置され、フロントウインドウとクォーターウインドウ間は細く、桟のような構造。

新型フィットの前席内装。画期的なAピラー構造で、前席・後席ともに見晴らし性が高い。
新型フィットの前席内装。画期的なAピラー構造で、前席・後席ともに見晴らし性が高い。    森山俊一

桟で継いだ中折れ型フロントウインドウと理解してもいい。

このフロントウインドウの開放感は独特だ。慣れるまではその晒され感で不安を覚えるほど。

しかも、前席だけでなく後席からの見晴らしも拡がり、前後席から1つの展望窓を覗いているような車内の雰囲気は独特だ。

一応、運転死角が少ないという長所もあるのだが、家族や友だちとの遊びに出掛けた時の盛り上げ効果が一番。「ドライブの醍醐味は風景だ」なのである。

ハイブリッドの仕組み

走行ハード面での注目は、ハイブリッド車のパワートレイン。

従来車は、DCTと組み合わせた1モーター2クラッチのパラレル式を用いていた。

ホンダの2モーターハイブリッドの呼称が「e:HEV(イーヘイチイーブイ)」となり、コンパクトクラスの新型フィットに採用されている。
ホンダの2モーターハイブリッドの呼称が「e:HEV(イーヘイチイーブイ)」となり、コンパクトクラスの新型フィットに採用されている。    森山俊一

新型ではエンジンを発電機として用い、駆動は電動モーターで行うシリーズ式をベースに、巡航用のエンジン駆動機構を備えた「e:HEV」を採用した。

もっとも、コンパクトクラス用に全面新規開発されているものの、システム構成はi-MMDと共通であり、フィットから名称をe:HEVに改めている。

これにより、特別な高性能車以外はホンダ・ハイブリッド車はe:HEVが主力となることが決定した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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