運転の基礎テクニック

ここで、ちょっと想像してみよう。コロナウイルスを克服して、予約したサーキットで蓄積されたフラストレーションをぶちまけることにしたとしよう。

さて、どのように運転すればいいのだろうか？

サーキットはクルマの性能や挙動を知ることができる場所だ。FF、FR、AWDなど、駆動方式やエンジンの搭載位置に関わらず、ほとんどの車はオーバーステアにもアンダーステアにもなる。それがどのような状況で起こるのか、またどのようにリカバリーするかというテクニカルな話は、ここでは割愛する。

ただ、コース上でのクルマの挙動は、公道での挙動を拡大したものだ。極端に反応することもあるが、基本的には同じで、劇的に違うことはほとんどない。そして、どのようなクルマであろうとも、速くて安全なラップタイムを刻むための鍵は同じだ。

ご存知の人も多いだろうが、ドライビングの上達に欠かせない1つの「円」をご紹介する。難解な数学は必要ない。

上から下まで縦に線が引かれた円を想像してみてほしい。この線はタイヤの前後方向、つまりアクセルとブレーキの仕事量を表している。最大加速時には線の一番上に、最大制動時には線の一番下にタイヤがあることになる。

次に、円の中心を通るように左から右へ線を引く。これはコーナリングでの仕事量だ。

タイヤは絶対に円から離れることができない。だから、縦方向に最大の力がかかっている場合、横方向に力を加えることはできないし、その逆もまた然りだ。限界を超えて力を加えようとすると、スピンしたり、滑ったり、ロックしたりしてしまう。

常に円を意識して、タイヤが円の中に留まるように重心移動を行えば、速く走れるし、楽しくなるだろう。評論家がクルマの「バランス」について語るとき、多くはこの円を意味している。

現在の制約から解放され、クルマを楽しめるようになったら、しっかりと計画を立て、素晴らしいドライブに出かけよう。

幹線道路からパイクスピークまで：マット・ソーンダース

ここからは、英AUTOCARのスタッフに話を聞き、最高の思い出やクルマについて語ってもらう。

楽しいドライブで最も重要な要素は何は？道路、クルマ、気分、時間帯、それとも1人かどうかなど

道路です。それ以外の要素については、少しは妥協する余地があります。運転に夢中になるにはチャレンジングな道路でなければならないし、快適に走るにはきれいな場所でなければなりません。

今までの最高のドライブは？

中秋の名残の日曜日の夕方、バンガー大学の宿舎にA5（幹線道路）で帰ろうとしていたときのことです。おそらく19歳だったと思います。

西に向かっているときはいつも夕暮れが長く感じられました。雨に濡れていて、周りにはトラックはほとんどおらず、私は重い荷物を積んだトライアンフ・アクレイムに乗っていました（この道では車種は重要ではありません）。

国境を越えてウェールズに入り、メナイ海峡までずっと走っていたので、見たクルマの数は指で数えられたと思います。雲の色がスレート色だったのを鮮明に覚えています。トライアンフから降りると、まるで「指輪物語」のモルドールに降り立ったかのような感じがしました。

もし、一度だけ乗れるクルマがあるとしたら何がいいか？また、その場所は？

ケン・ブロックのフーニコーン・フォード・マスタングを、パイクスピーク・ヒルクライムで。才能がないので、「クライムカーナ」のアンダーステアなリメイクといったところでしょうね。笑い話になると思いますよ。

画像　720S、ゴルフGTI、ロードスター、エリーゼ【最高のドライバーズカーたち】　全90枚