【新型レヴォーグ】本当に次元が違う? 走って感じたこと エンジニアに聞いた開発の裏側 後編
公開 : 2020.08.20 11:50
2020年10月15日発売の新型レヴォーグ。テストコースで実施された報道陣向けプロトタイプ試乗会。現地でエンジン、車体、サスペンションなどを開発したエンジニアたちから技術の詳細についてじっくり話を聞きました。
「雑味がない」 なめらかな切れ味
「雑味がない」新型レヴォーグの走りで感じた、第一印象だ。
ステアリングを通じて、シートを通じて、足の裏を通じて、そう感じた。
これは、直線路を走っていても、先代モデルとは明らかな差として実感できる。
レヴォーグの商品性である、ツーリングワゴンとして長距離ドライブでの疲れの軽減に大きく役立つことは間違いない。
技術的な詳細について、各分野のエンジニアから話を聞いた。
まず、スバルとして初採用した、2ピニオン電動パワーステアリングについて。
これまでの1ピニオン式だと、ステアリングの入力を検知するトルクセンサーとアシスト力を発生するモーターが同じ軸上にある。
一方の2ピニオン式では、ステアリングの入力軸とは別に、もう1つピニオンギアを設け、そこにモーターを配置した。
こうすることで、トルクセンサーに対するステアリング操作の検知精度が高くなり、ステアリングを切り出した時、または切り返した時、ドライバーのフィーリングや実際のレスポンスが良くなる。
さらに、モーターによるフリクション(抵抗力)が少ないので、ステアリング操作全体がなめらかになる。
搭載については、水平対向エンジンの上部に配置するため、高さと前後方向の長さの設計に気をつかったという。
今後、レヴォーグ以外のモデルでも搭載を検討する。
レヴォーグの骨格、SGPと何が違う?
次に、骨格についてだ。
スバルは現行インプレッサから、車体(プラットフォーム)を刷新。スバルグローバルプラットフォーム(SGP)と呼ぶ。
対して、レヴォーグではフルインナーフレーム構造とした。資料だけではわかりにくいが、実物大の車体カットモデルを見ながらの説明を受けて、これまでのSGPとの差がはっきり理解できた。
それによると、プラットフォームとは床面に広がる骨格であり、その上に溶接される、いわゆる上屋(うわや)について、これまではドアをはめ込むパネルや天井部分などの外板パネルを一気に溶接していた。
これに対して、インナーフレーム構造では、外板パネル以外の上屋の骨格となる部位を溶接し、最後に外板パネルを接合する仕組みだ。
そのため、製造ラインでは新たに溶接工程を追加し、現行インプレッサなどはこの工程を素通りする。
また、車体各所で構造用接着材の使用箇所を増やし、またリア開口部での強度を上げるため樹脂製の構造強化剤を採用した。
こうした各部での対応により、先代レヴォーグと比較して、ボディ剛性はねじり方向で44%も向上している。
その上にサスペンションを改良した。フロントで25%、リアで5%のロングストローク化している。
さらに、スバル初として最上位グレードのSTIスポーツに電子制御ダンパーを採用した。