【詳細データテスト】モーガン・プラス・フォー 新設計ながら雰囲気満点 一線級の加速性能 足回りはチューニングの余地あり

公開 : 2020.08.22 11:50

操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆

プラス・フォーは、昔ながらのやりかたで、ドライバーを大いに夢中にさせてくれる。パワーステアリングは、1t級スポーツカーに期待するより軽くてスローだが、これまでのモーガンのステアリングにみられた傾向より、よくも悪くもずっと一貫している。

その手応えとペースは、このクルマのキャラクターを雄弁に物語る。カッ飛ばすのも不向きで楽しめないわけではないが、むしろ夏の日に屋根を開けて走るのを堪能するくらいのペースが適しているのだ。

プラス・フォーは、思い切り飛ばすよりも、気持ちよく走れる程度のペースでドライブするほうが楽しめる。高い速度域では、過度の集中力が求められることになる。
プラス・フォーは、思い切り飛ばすよりも、気持ちよく走れる程度のペースでドライブするほうが楽しめる。高い速度域では、過度の集中力が求められることになる。    OLGUN KORDAL

それほど早くなくても生き生き走り、ドライバーをだらけさせない。シャシーは、スポーツカーとしてはスプリングがソフトなので、ピッチはかなり感じられる。

パワーをかけてのコーナリングでは、ロールはそれほど大きくないが、たしかに荷重は後輪周辺に集めたがる。結果的に前輪荷重が変化するので、速度の乗ったコーナリングでスタビリティと正確さを求めるのはちょっとばかり簡単ではない仕事だ。ただ、それも嫌いじゃないと思えるのだが。

サイドスクリーンを取り去って本気で飛ばすなら、ステアリング操作が必要な範囲内で十分なスピードを出すには、ステアリングホイールに大きな力をかけることになる。

60タイヤのサイドウォールの弾力は、正確無比なハンドリングをもたらしてはくれない。たとえ、シャシーが水平を保ち、安定しているときであってもだ。また、横方向のグリップはかなり控えめである。

だから、モーガンをハイペースで走らせることができれば、努力した甲斐があったと思えるのだ。その点は、昔から変わらない。

さらに速度が上がると、ドライバーは常にプラス・フォーをなだめすかすことになる。A級道路を100km/h程度で巡航する間も、荷重移動やサスペンションのブレによる進路の乱れを修正しなくてはならない。

B級道路をハイペースで走ると、手元の慎重な操作と、かなりの集中力が求められることになる。中立付近でのステアリングフィールは、S+ボタンを押すとかなり改善されるので、テスター陣の大半はこの装備の恩恵に浴した。

ひどく荒れた路面における垂直方向のボディコントロールは、大きな隆起などの手前で減速したくなるくらいルーズ。先に進むのを躊躇することもしばしばだ。

これは、奇妙なほどサスペンショントラブルが足りないと思わせるクルマだ。さらには、本当に過酷な状況では、構造の完成度や挙動の落ち着きでも不足が露呈してくる。

とはいうものの、適切な速度域にある限り、心が和むくらいの素直さとシンプルさをもって、労力に報い、ドライバーを魅了するクルマでもある。

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