【セブンの姿のスーパーカー】ドンカーブートD8 GTO-JD70へ試乗 618ps/t
公開 : 2020.08.26 10:20
高水準の仕上がりで快適な車内
小さなボディに、トルクフルな420psのエンジンは強烈だ。比較的ロングレシオの5速MTが組み合わされ、LSDを介してリアタイヤを駆動する。調整式のトラクション・コントロールを装備し、オプションでABSとパワーステアリングも選べる。
GTO-JD70の仕上がりは良い。技術力はアリエルほどではないにしても、完成度は見事。カーボン製パネルの織り目を、指定することもできる。
ドライビングポジションも理想的。シートは快適で、着座姿勢はケーターハムと似ている。肘が少しボディからはみ出るが、助手席側の人と肘がぶつかる心配は少ない。
ドアを取り付ければ、走行中の車内の乱気流は少なくなる。ずっと居心地が良くなる。メーター類は整然と並び、見やすく、スイッチ類の品質も高い。
快適な車内のおかげで、アリエルやケーターハムより、週末のロングドライブを楽しみやすい。GTO-JD70は別次元といって良い。
今回試乗したのは、ヨープ・ドンカーブート自身のクルマ。70台のうちの22番目。特徴的なグリーンのボディに、わずかにゴールドのメタリック・フレークが散りばめられている。70才になったヨープだが、まだまだ心は熱い。
彼が指定したGTO-JD70には、エアコンやABSだけでなく、パワステすら付いていない。そのかわり、カーボン製シートと6点ハーネスを、オプションで追加している。
徐行程度の速度では、ステアリングはかなり重い。ロックトゥロックは2.7回転と、さほどクイックではない。工場から外へ出て、速度を上げると操舵が軽くなっていく。
乗ってすぐに楽しい抜群の操縦性
埋め立て地の一角に工場はあり、付近は平坦。直角コーナーでつながった、直線に伸びる道路が敷設されている。
タイヤはナンカン製のAR-1。フロントが235/47 R17でリアが245/40 R18と異径。旋回時に2Gの遠心力に耐える粘着力があるらしいが、今回はそこまで攻め込まない。
むしろその必要はない。GTO-JD70は、乗ってすぐに楽しい。乗り心地も良好。橋桁の継ぎ目では大きめの振動が伝わるが、それ以外では充分に落ち着いている。
5速MTのシフトレバーは重いものの、ショートストロークでピタリと決まる。ペダルの重み付けもレイアウトも、非の打ち所がない。一部の少量生産メーカーは、人間工学を理解していないこともあるが、ドンカーブートは違う。
GTO-JD70は息を呑むほどに速い。ピークトルクは56.9kg-mで、1750rpmから6350rpmという幅広い回転数で発生。最高出力の420psには5850rpmで到達するが、リミッターが効く7000rpmまで衰えないという。
ターボラグはあっても、慣性は小さく、低回転域からブースト圧を小気味よく生成。そして一気に回転数を高めていく。
高回転域では、直列5気筒らしい個性的なビートも楽しめる。低回転域ではMTからのメカノイズやエグゾーストで、あまり聞こえてこない。
2シーターのロードスターとしては、アウディ製の2.5L 5気筒ユニットは軽い方ではない。ケーターハムやアリエルの方が、ステリングホイールの指先での操作に機敏に反応してくれる。でも、操縦性も抜群だ。