【実現しなかったのもわかる?】風変わり、いや失敗作なコンセプトカー12選
公開 : 2020.08.29 18:10 更新 : 2021.03.05 21:42
レクサスLF-SA
レクサスがジュネーブショーでLF-SAを発表した2015年は、今とは時代が違った。2008年の不況から回復し、消費者は財政的な安心感を抱いていたので、「何か違うもの」を購入することに目を向け始めたころだ。
レクサスのデザイナーは、この傾向を十分に理解していたようだ。それか、ミニサイズのレクサスを提案することで笑いを誘いたかったのかもしれない。
このクルマは過剰なほどコミカルにデザインされていた。レクサスのデザイン要素を、小さなボディに山盛り詰め込んでいる。
もしそれがジョークだったとしたら、コピーライターたちは笑いを分かち合うことにした。
レクサスによると、LF-SAの形状が「凹型と凸型のコントラスト」を強調し、「ホイールアーチの上の強力なアンダーカットがデザインにユニークなプロポーションをもたらした」こと、そして全体が「ダイナミズムと前進感」を生み出しているという。
LF-SAが登場して消えてからの5年間で、ミニサイズのクルマは利益を上げにくいことが証明されてきたので、市販化されるとしてもまだ先の話だろう。レクサスはもっといいクルマをたくさん作っている。
BMW E1
BMWは2013年に風変わりなEV「i3」を発表したが、その20年以上前には、未来的な小型車「E1」という非常に類似したコンセプトカーがすでに登場していた。
BMWが初めてEVに参入したのはさらに前のことで、1972年にドイツで開催されたオリンピックで1602 Elektro-Antriebを発表している。搭載された電気モーターは42psを発揮し、航続距離は30kmだった。
1991年のフランクフルト・モーターショーで発表されたE1は、航続距離200km、最高速度120kmと、はるかに使い勝手が良かった。バッテリーの重さを相殺するためにプラスチックとアルミニウムで作られたボディは、900kgと軽量。コンパクトでありながら広々とした4シーターセダンである。
生産コスト、充電インフラの不足、充電中の火災リスクといった諸事情により、E1は実現しなかった。試乗したテスターによると、他の小型車よりもいたく気に入っていたようだ。
「環境に配慮した電気で走るからではなく、私が試した他のどの小型車よりも気に入っています。電気モーターを搭載していることはデメリットではありません。素晴らしいフォルム、優れたスペース効率、優れた乗り心地、シャープなハンドリング、静粛性、そしてシームレスなトランスミッションを備えています。BMWの基準から見ても、これは強打者と言えます」
E1は、理想的な都市型コンパクトカーだったかもしれない。しかし、1995年にミニブランドを買収したことで、小型車の方向性は決定づけられてしまった。