【実現しなかったのもわかる?】風変わり、いや失敗作なコンセプトカー12選
公開 : 2020.08.29 18:10 更新 : 2021.03.05 21:42
サーブ・フェニックス
2011年のジュネーブ・モータショーで発表された2ドアの2+2「フェニックス」は、サーブの意思表示であり、最新のデザイン言語や技術力を紹介するコンセプトであった。
これにより、ゼネラル・モーターズが長年放置していたオランダのスポーツカーメーカー、スパイカーの所有下でサーブを復活させることになった。
デザインディレクターのジェイソン・カストリオタが「エアロモーショナル」と呼んだドラマチックなスタイリングは、サーブの自動車と航空の伝統を多く取り入れながらも、モダンなものだった。
フェニックスには革新的なハイブリッド・パワートレインが採用され、202psのBMW製1.6L ガソリンエンジンが前輪を駆動し、33psの電気モーターが後輪を駆動する。トルクベクタリング機能も備えている。
インテリアには、アンドロイドベースの新システムを搭載した8.0インチのタッチスクリーンなど、多くの革新的な機能が備わっている。
最も重要なのはプラットフォームである。これは次世代の9-3、9-5、9-4Xのために作られた新しいモジュール式のプラットフォームで、マクファーソンストラット式フロントサスペンションと、モータースポーツにインスパイアされた5リンク式リアアクスルというユニークな設計を特徴としている。
GMの束縛から解放されたサーブの未来は明るいものに見えた。しかし、フェニックスが発表されたときにはすでに資金が尽きており、2012年には破産宣告を受けていた。フェニックスには、その灰の中から蘇る機会すらなかったのだ。
シトロエン・ラコステ
これは、「必要性」が発明の母であることを証明するコンセプトなのかもしれない。
シトロエンは、不況の矢面に立たされていた頃、製品ラインアップが市民に愛されず、財政状態は暗礁に乗り上げていた。
2007年に機能的な「C-カクタス」コンセプトを発表し、その後2010年には「ラコステ」を発表した。フランスのファッションブランドから名前を取ったモデルで、デザインのミニマリズムを提唱していた。
もちろん、ラコステのDNAの一部が、今は亡きC4カクタスとして登場したことは事実であるが、それ以上に、ラコステはシトロエンの威厳を取り戻してくれた。
今日、シトロエンがスポーツ性よりも快適性を重視しているのは、好き嫌いの激しく分かれるクルマよりも、多くの人に愛されるクルマの方がいいという姿勢に起因するものであることは間違いない。
ラコステの核となっていたのは、超現代的で魅力的なスタイルではありながら、クルマを本質的なものに戻し、シトロエンブランドを世に送り出し、(最終的には)商業的な成功へと導いた元来の「je ne c’est quoi」の要素を取り入れることにあった。
そのため、ドアはなく、屋根も小さかった(センターレールから収縮させることが可能)。パワーは1.2L 3気筒ガソリンエンジンを搭載し、可能な限り軽量化を図り、CO2排出量は当時としては驚異的な100g/km以下に抑えられていた。
必要のないものは何も加えず、非常にシックであった。厳しい財政難の時代にあって、そのシンプルさは、高級ブランドが夢見ることしかできないような魅力的な楽観主義をもたらした。
だが皮肉なことに、ラコステはコストが高すぎて実現しなかった。