【若き才能】F1 レッドブルのフェルスタッペン メルセデスに勝つには
公開 : 2020.08.30 21:03 更新 : 2021.07.12 18:33
ホンダとの新たな提携
彼らが見つけた答えはホンダだ。ホンダはマクラーレンとの提携を解消し、2018年からトロ・ロッソにエンジンを提供している。
マクラーレンとホンダの関係はわずか3年間で終わりを告げた。これはマクラーレンがホンダ製エンジンのパワー不足に不満を抱いたことが原因とされている。トロ・ロッソも2018年に良い戦果をあげられなかった点を見る限り、レッドブルの選択はギャンブルのようにも思える。
しかしこの決断はおおむね功を奏したと言える。フェルスタッペンはホンダが2006年にF1に参戦して以来初めてとなる勝利を含む3勝をあげたほか、レッドブルはコンストラクターズ選手権で3位につけたのだ。とは言えこれでもまだメルセデスに肩を並べたとは言えない。
2020年に期待と言いたいところだが、フェラーリの失速によりレッドブルの地位は上がったものの、メルセデスとの差はむしろ広がったようにすら思える。
エンジンもシャシーも要改善
「ご覧の通り、メルセデスは非常に速いです」と語るのはホンダF1の技術部門を統括する田辺豊治だ。「トップチームとの差は非常に大きく、縮まる様子もありません。しかしレッドブルとホンダはそれに追いつくべく頑張っています」
メルセデスとの大きな差や、レッドブルとホンダの以前の緊張関係にも関わらず、現時点で両者の関係は良好なようだ。これはおそらく両者ともにシャシーもパワートレインもメルセデスに及ばないことを理解していることが理由だろう。
「パフォーマンスの差はシャシーとパワーユニット両方から来ています」と田辺は説明する。「速さの秘訣がどこにあるのかははっきりしておらず、われわれは協力してパフォーマンスを高める必要があります。われわれもシャシーのせいとは言いませんし、彼らもパワーユニットが悪いとは言いません。非常に緊密に連携して開発を進めています」
フェルスタッペンもこれに同意する。今シーズン両者の関係は「良いことばかりです」と語った。「初めてともに働く相手とは、コミュニケーションが問題になることが多いでしょう。しかしわれわれは最初のテストからとてもうまく連携が取れています」
「昨年いくつかのアップグレードを行いましたが、年末までに大きな進化を遂げることができました。今年もともにパフォーマンスを追求できています」
限界域でのバランスに問題
レッドブルはシャシーのバランスに起因する限界域での操縦性の問題を抱えており、フェルスタッペンやチームメイトのアレックス・アルボンも何度かのスピンを経験している。これが原因となり予選での結果に大きく響いたようだ。
アルボンは「当時われわれは予選から本戦まで、何が起きているかよくわかっていませんでした。マシンは確実に速くなっていましたが、予選でもっとその実力を出してやらなければならなかったのです」
この時は特にアルボンに大きく影響を及ぼしたようだ。彼はいくつかのレースの予選で大きくグリッドを落とした結果、トラブルに巻き込まれてしまったこともある。例えば英国GPでのハースのケビン・マグナッセンとのクラッシュだ。
しかしアルボンは「わたしはこれが困難だとか良くないとは思いませんでした」と語り、苦戦を否定する。チームもこれに同意しているようだ。アルボンが英国GP予選で12位になったとき、レッドブルのチーフエンジニア、ポール・モナハンは「正直に言えば、この責任はアレックスよりもわたしたちにあります」と語った。
レッドブルのボス、クリスチャン・ホーナーはメルセデスとの差について「著しい」と考えているようだ。しかし先日のシルバーストンでのレースに向け急速なアップグレードを果たし、バランス問題を一部解消できたとしている。彼は「冬の間にフロント部分の設計を変えたことにより、新たな特性を理解する必要が生じました」と説明する。