【マツダCX-3やCX-5ではなく】CX-30を選ぶワケ 新作MX-30も気になる マツダ技術者と過ごした時間で感じたこととは?
公開 : 2020.08.25 16:20 更新 : 2020.08.25 21:28
旅先で感じたマツダとの共通点
奈良井宿に到着し、旧中山道の宿場町にCX-30を重ね合わせてみると、筆者の気持ちが見える化された。
商店の店先にある、年季の入った木製ベンチで1時間近く、食休みを兼ねて街の風にあたっていた。カメラマンがベストショットを狙うため、CX-30が往来する。
江戸の風景の中で、数百年後の乗り物はミスマッチするかも思いきや、なぜだがすごく馴染んでいる。
背景にあるのは、「ひとの営み」
旅人が長旅の疲れを癒す宿場町に暮らす人々の、もてなしの心と、自らの生活をしっかり続けていくための知恵。
こうした町全体が醸し出す雰囲気が、マツダで働く人々が貫くモノづくりに対する心、それをユーザーに伝えようとする気持ちとが、上手く重なり合って見えるのだ。
ところ変って、翌朝は松本市街にある、松本民芸家具の工場内を特別に拝見した。
強度と柔軟性を持つが加工が難しいと言われた国産の素材に対して、全行程での完全手作業に拘る。
加工、組立て、塗装の各工程で職人たちの息吹を感じる。
その中で気になったのは「一点モノは、作り手の人間味が出過ぎてしまい、結果的に飽きられてしまう」という言葉だ。
少量生産で職人は作り手の責任として、自らの名前を商品に掘るが、あくまでも作品ではなく、商品という認識を忘れない。
同社の、思想と哲学である。
マツダ どのように道を進むべきか?
今回、旅を共にしたマツダ関係者の多くが、奈良井宿や松本での風景と「人の営み」に対して、「われわれとの共通点を感じる」と漏らす。
その上で、CX-30の開発責任者である、商品本部・主査の佐賀尚人氏は今回の試みについて、こう話す。
「是非、長距離ドライブ試乗会をやりたいと思っていました」
「通常、マツダの報道陣向け試乗会は、エンジニアが前面に出て技術論が中心な場合が多いです」
「新しい価値観という観点で、CX-30という個車ではなく、マツダをしっかり感じ取ってもらいたかったのです」
結果として、筆者は移動中や目的地で「心が動いた」。これが、マツダでの表記である「〇〇歓び」なのだと思う。
マツダが仕組んでそうなった、というのではなく、マツダという企業のあるべき姿を、マツダに関わるひとりひとりが常に悩み、そして日々の仕事を進めている結果なのだと思う。
単なる、ブランド戦略とか「ことづくり」といった、昨今の自動車業界での常套句とは、どこか違う。
今後、パワートレインの電動化、運転支援システムの高度化、そしてシェアリングなどITを活用した各種新サービスがさらに進んでも、今回感じた歓びをずっと感じ続けていたい。