【マツダの切り札、どう攻め直す】マツダ秘蔵っ子「スカイアクティブX」 際立つ技術の新たなる伝え方とは?
公開 : 2020.08.26 05:50 更新 : 2020.08.26 12:47
規制と理想をバランスさせた新技術
そこまでしても、マツダはスカイアクティブXの量産を急いだ。
世界各国や地域でCO2規制の強化のため、マツダ商品ラインナップ第6世代から導入したスカイアクティブ技術の多様化を進めていたからだ。
スカイアクティブの原点にあるのは「燃焼を極める」ことだ。
内燃機関という動力源の基本中の基本である、燃焼室内で燃料がどのように燃えるのかを、既成の概念に捉われず、エンジニアたちが真正面から理想的な燃料を考えた。
結果として、燃焼室内の圧縮比が、一般的なガソリンエンジンとディーゼルエンジンでの常識を覆した。
さらに、キレイな燃焼をおこなうことで、排気後における後処理での清浄化装置に対するコストを大幅に軽減することに成功した。
こうした技術をさらに深堀りしたのが、超希薄な燃焼を量産化したスカイアクティブXだ。
理想的な技術ありき、かつ、仕向け地での規制に左右される、という思い切った商品であるがゆえに、日本ではマツダ3もCX-30も、新車販売直後の新車効果がある。
だが定常的に売り上げを伸ばしていくためには、さらなる工夫が必要である。
この点について、マツダは十分に承知しており、具体的な策についても検討が始まっている。
スカイアクティブX 今後どうなる
CX-30開発を統括する、マツダ商品本部・主査の佐賀尚人氏はスカイアクティブXについて「(現状で)これが最終系ではなく、やっと生んだエンジンなので、これから改良を進める」という。
「(方向性としては)ハイパワーなスペックではなく、クルマ全体としてトータルバランスを考慮していきたい」と今後の進め方を示した。
今回、CX-30のスカイアクティブX搭載車で、長野県内のワインディング路、市街地、そしてマツダR&Dセンター横浜の目指して中央高速・圏央道・東名高速・首都高速を走った。
低回転域からモーターアシストし、エアサプライ装置の効果が分かる2500rpmあたりからさらに自然な吹き上がり。2.0L車としては十分な走りの余裕が感じる。
フロントヘビーな印象もまったくなく、ワインディングの走りで、助手席の編集者と共に自然と笑顔になった。
今回はAT車であり、トランスミッション制御技術がスカイアクティブXをほど良くバランス。一方で、マツダらしいMT車では、スカイアクティブXの特長がさらに鮮明になる。
マツダによると、マツダ3とCX-30において、スカイアクティブXを今後「走りのチューニングをしっかりおこなうことと並行して、改めて技術的な背景と、そのマツダらしさについて、販売店とユーザーにしっかりと伝えることを実行に移していきたい」という。