【ランボルギーニ、何が変わった?】ウルス通算1万台突破 女性オーナーも増加中 変わるユーザー/販売店
公開 : 2020.08.26 07:20 更新 : 2021.10.11 13:50
ランボルギーニの販売台数を倍増させた「ウルス」。新たなユーザーの獲得や、販売・サービス網の変化が浮かび上がってきました。スーパーSUVは、ニッチだったスーパーカー・ブランドに何をもたらしたのでしょう。
1億総SUV時代の象徴として
ハイエンドの自動車ブランドがSUVを作るなんて! という純粋主義者の声が聞こえたのは21世紀がはじまってすぐの頃だったはず。
2002年、ポルシェ・カイエンのデビュー。思えばあれが今日の高級クロスオーバーSUV隆盛の出発点だった。現在ではSUVをラインナップしないブランドを数える方が手っ取り早いほどだ。
ロールス・ロイス、マセラティ、ベントレー、アストン マーティンがSUVをリリースし、最近ではフェラーリまでもがSUVを開発中と噂されている。そんな高級SUVの中でも、意外性を孕んでいたのがランボルギーニだろう。
2017年12月にスーパーSUVという肩書と共にデビューしたウルスは、今では1億総SUV時代を象徴する存在となっている。
ウルスはスーパーカーブランドとして初のSUVという話題性だけでなく、販売も好調だ。
通年販売した最初の年となる2019年に4962台がデリバリーされ、つい先ごろデビューから2年で1万台に到達している。ちなみに2019年のランボルギーニ全体の生産台数は8205台なので、約60%をウルスが占めている。
またランボルギーニの生産台数はここ10年ほど増加し続けており、2017年から2019では2倍以上に膨れ上がっている。ウルスの存在がブランドの規模や可能性を大きく変えたのである。
ウルスが変えた“あらゆるもの”とは?
物理的な意味でも精神的な意味でも、ウルスの登場によりランボルギーニは変化を遂げている。
ウルスの生産をはじめるにあたり、サンタガータにあるアウトモビリ・ランボルギーニは8万平米だったファクトリーの面積を倍の16万平米に増やしている。
また非日常性を売りにする2ドアのスーパーカー専業だった同社が、毎日乗れる4~5人乗りのクルマを作り出したことによる変化もある。
ウルスのオーナーの80%が初めてランボルギーニを購入する人物であり、さらに驚くべきはそのうちの10%が女性という点だろう。
長らくランボルギーニは熱心なクルマ好きオトコの究極の夢だった。だがウルスはスーパーカー世界の扉を大きく開け放ち、ランボルギーニを駆る愉悦を広めたのである。
販売される地域性にも変化が起こっている。
以前からランボルギーニのスーパーカーは4駆が多かったが、だからと言って雪の日に乗って出かけたくなるようなクルマではなかった。だがウルスは4駆であることは当然として、SUVらしいロードクリアランスもちゃんと確保されている。
このため我が国を例にとれば、東北地方の玄関口となる宮城県仙台市にも、ウルスのデビューに合わせて正規ディーラー、ランボルギーニ仙台がオープンしている。
ちなみにDBXを引っ提げたアストン マーティンも仙台にディーラーをオープン予定と伝えられている。
SUVをラインナップすることで販売地域が拡大され、ブランドの可能性も広がる。SUVはハイエンドブランドの足元固めに不可欠なカードでもあるのだ。