【スバル・アイサイトの裏事情】なぜ技術で他社先行できる? ぶつからないクルマ スバルにしかない拘りとは?
公開 : 2020.08.27 05:50
大勢は「アセスメントありき」?
ぶつからないクルマ。
スバルが2008年から、テレビCMなどで訴求を始めた、予防安全技術アイサイトの宣伝文句である。
効果てきめんで、「レガシィ」や「インプレッサ」ではオプション設定の枠組みを超え、アイサイト装着グレードが売れ筋となった。
この頃、衝突被害軽減ブレーキは、日本での予防安全技術のアセスメント試験項目ではなかったが、スバルは欧州市場での動向や日本市場の今後を睨み「アイサイトを、スバル車の差別化要因として強化する」戦略を進めた。
時期としては、スバルの北米市場シフトとも重なることから、日本市場でディーラーがスバル車を売れる体制作りを構築する上でも、アイサイトで予防安全技術を先行する必要があった。
予防安全性能が日本でアセスメントの試験項目になったのは2014年度と、まだ日が浅い。
試験項目は、衝突被害軽減ブレーキでは、対車両(2014年度~)、対歩行者・昼間(2016年度~)、対歩行者・夜間・街灯あり(2018年度~)、対歩行者・夜間・街灯なし(2019年度~)。
その他、車線逸脱抑制(2018年度~)、アクセルとブレーキの踏み間違い時加速抑制装置性能(2019年度~)と対象が拡大している。
これらを見てわかるように、自動車メーカー各社はアセスメント対応で予防安全技術の開発が必然となったのだ。
スバルの拘り/優位性どこにある?
ぶつからないクルマの技術開発が盛んになる中、スバルの優位性はどこにあるのか?
アイサイト開発統括者は「実験(担当部)が性能の達成目標を立てること。その評価をもとに設計(担当部)が連携する。さらに、部品サプライヤーでもカメラ製造のティア1はもとより、イメージセンサーや画像認識に直接関係する半導体メーカーとスバルは直接交渉しています」と、他社ではやらないスバルの拘りがあると説明する。
次世代アイサイトでは、ティア1として、これまでの日立オートモティブシステムズ製からスウェーデンのVEONEER製に変更された。ティア2では米オンセミコンダクターと
ザイリンクスとなる。
他銘では、ティア1としては、ドイツ大手のボッシュやコンチネンタル。
画像認識技術では、BMW、GM、ボルボ、日産、マツダが使う、インテル傘下のイスラエル・モービルアイ。
また、メルセデス・ベンツはエヌビディアとのビックデータ事業を含めた総括的な連携を発表したばかりだ。日系では、トヨタ系のデンソーが主流だ。
次世代アイサイトはオプションとして、高速道路での高精度三次元地図との連動を採用している。
スバルはこれからも、ユーザー目線第一で、アイサイトの熟成を進める。