ジャガーXJR
公開 : 2013.10.29 20:00 更新 : 2017.05.29 18:38
■どんなクルマ?
メルセデス・ベンツS63 AMGに対抗するジャガーのフラッグシップ・サルーンがこのジャガーXJRだ。その1870kgのボディを引っ張るのはオール・アルミニウム製の5.0ℓV8で、ルーツ・タイプのスーパーチャージャーと、一対の空冷および液冷のインタークーラーを備える。その結果、搾り出されるパワーは542bhp、トルクは69.4kg-m。8速オートマティック・ギアボックスによってそのパワーはリア・ホイールに伝えられる。
そのパワーを正しく路面に伝えるために、電子制御のアクティブ・ディファレンシャルが取り付けられる。また、ブレーキはフロントがφ380、リアがφ376のディスクが奢られる。
外観では、フロント・スピリッター、リア・スポイラー、Rボンネット・ルーバーなどが専用のエクイップメントとして装備されている。
■どんな感じ?
圧倒的な加速と卓越したコーナリング・スピードによってXJRはドライバビリティに優れたクルマに仕上がっている。油圧のステアリングも正確で、重さも適度、そしてフィードバックも良い。ボディ・ロールも最小限だ。そのスロットル・ペダルとブレーキ・ペダルによってコントロールも非常に容易だ。
しかし、なんとしてもそのサスペンションが固すぎる。ターマックではありとあらゆる凹凸を拾ってしまう。ステアリング・コラムにも小さな振動が持続的に伝わってくる。そのエグゾースト・ノートは心地良いが、そういった意味において、高性能ではあるが微妙なサルーンである。
シートは快適でサポートも優れているが、リア・シートは若干きついかもしれない。これはXJシリーズの悪しき伝統だ。
装備は豪華で、4ゾーンのエアコンやヒーテド&ベンチレーテッド前後シート、衛星ナビ、サラウンド・サウンド・システムなどが装備される。幾つかのスイッチが薄っぺらい感覚があるのが残念だ。また、モダンなTFT計器盤がカスタマイズできないのも期待はずれだ。このパフォーマンス・モデルであれば、油温、油圧、トランスミッション温度、ブースト圧などの情報が知りたいのであるが……。
それでも全体的な印象は上質の製品だ。現実的な燃費は7km/ℓ程度だろうが、巨大なフューエル・タンクを満タンにすれば、約600kmをノーチャージで走ることもできる。また、そのトランクスペースも実用的なスーパーサルーンであることの証だ。
しかし、もしXJRを購入する際に付けてはならないオプションがある。それはカーボンファイバー製のエンジン・カバーだ。虚弱な感じだし、何よりも運転している時に見ることはないオプションだからだ。
■「買い」か?
もし驚異的に速い5シーター・サルーンが必要であるなら、XJRは素晴らしい選択だ。しかもS63 AMGよりも£27,000(420万円)も安く体に入るのだから。しかし、何人かはXJRのパフォーマンスが不必要であると知ってしまうかもしれない。そういったあなたにはスーパーチャージャー3.0ℓV6のXJか、ディーゼル・モデルをおすすめする。
(ルイス・キングストン)
ジャガーXJR
価格 | £92,370(1450万円) |
最高速度 | 280km/h |
0-100km/h加速 | 4.6秒 |
燃費 | 8.6km/ℓ |
CO2排出量 | 270g/km |
乾燥重量 | 1870kg |
エンジン | V型8気筒500ccスーパーチャージャー |
最高出力 | 542bhp |
最大トルク | 69.4kg-m |
ギアボックス | 8速オートマティック |