【もとランボルギーニのバルボーニも登場】高性能EVサルーン ドラコGTEへ試乗
公開 : 2020.09.02 10:20
スポーツカーの黄金期を生きてきた
本物のバルボーニが顔を見せるのは、初恋の人、ランボルギーニ・ミウラを話すとき。その開発者の1人、ジャンパオロ・ダラーラと、昨年一緒にランチを取ったことにも触れた。今は別の世界にいる。
今日は、ドラコGTE。純EVらしい高音域の唸るようなノイズと、冷却ポンプの音が聞こえる。乗っているクルマは違うが、才能は衰えていない。
バルボーニは、ドラコGTEで、サーマル・レースウェイのコーナーを攻め込む。電気的な唸りが大きくなり、タイヤからは派手なスキール音が響いてくる。
車重は2.5tもある。助手席に乗っていても、その重さを感じ取れる。
バルボーニが開発したランボルギーニは軽量だったが、速く運転するのが難しかった。ドラコGTEは、発電機から長い時間をかけて充電する必要がある。昔の話をする時間も、沢山ある。
ハイパーEVを思いっきりサーキットで運転すれば、コーヒータイムも沢山得られる。「スポーツカーの黄金期を生きてきたんです。もはや存在しないようなクルマを、自由に運転して楽しむことができました」。とバルボーニ。
確かに当時のイタリア警察は、バルボーニがドライブするランボルギーニを、スピード違反で捕まえることはなかっただろう。そんなことをしたら、退屈なパーキングメーターのパトロールに回されてしまったはず。
4基のモーターで走るドラコGTE
シヴ・シカンドは、純EVのドラコGTEが採用するクワッド・モーターのメリットや、制御ソフトウェアの開発の難しさについて触れた。4基のモーターは、前後左右、自由にトルク量を変化できる。完全に。
ドラコGTEでサーキットを走れば、4基のモーターとシステムが、クルマをコース上に留めようと務めていることがわかる。重い車重を制御しながら、ミシュラン・スポーツカップ2タイヤで、数周走らせてくれた。
ブレーキは、巨大なセラミック製のディスク。よく効くが、複雑なシステムの一部に過ぎない。また、イベントの途中で、ブレーキに不具合が生じたことも認めている。
日産GT-Rでは、ブレーキを極めて知的に制御することで、ドライビング体験を拡張させている。前後のタイヤへ伝わるトルクの変化を感じ取れ、より速いコーナリングを引き出してくれる。
ドラコGTEは、コーナーを鋭く立ち上がるとき、少し身をもがくような仕草があった。それを除いて、速く走ることに対して、得られる感情的な変化は薄いと感じた。
125万ドル(1億3500万円)の北米価格が付いているドラコGTE。欧州では、今のところ販売の予定がない。製造計画にある25台は、すべて北米か中東で売られる。クルマの完成度は、とても高いことは確認できた。